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ここは見えない学校。
少々夏休みボケ気味の十二使徒達は私語が飛び出してしまう。
鳥乙女がメフィスト二世と一緒に盆踊りに行ったというこうもり猫の発言を発端に、
ピクシーはやぐらの縁の下で踊ってた、こうもり猫は拾ったわたあめを食べていた、と会話のボルテージはどんどん上昇し、
メフィスト二世はエツ子と踊りたがっていたという辺りで話は最高潮に。
恋愛談義になるとつい加熱してしまうのは人間も悪魔も皆同じのようだが、今は授業中・・・。
「うるさーい!!」
とうとうファウスト博士の特大の雷が落ちた!
メフィスト二世、鳥乙女、ピクシー、こうもり猫は大量の答案用紙をボン!と口やら手やらにはさまれ、居残りをさせられるハメになった。
よい子のお約束。授業中は静かに学びましょう。

しぶしぶ居残りをしていたこうもり猫、何とか口実を作って逃げ出そうと思いつつトイレタイム中。
と、窓に顔見知りのチビコウモリがやって来た。
そして、こうもり猫の一族のメキシココウモリが白悪魔狩りを始め、次々と白悪魔を古城に幽閉していると訴え、救援を頼む為、恋人を残し、ここまでやって来たと言った。

この話に感動したこうもり猫は男子用便器に座って号泣した後、皆に話しても
宿題をサボる口実だと思われるに決まっているから、と自分に対する評価を良く知っているこうもり猫は単身メキシココウモリに談判しようと窓から飛び立っていった。

その様子を、ちゃんと性別のあった豆ユーレイが女性用トイレから出てきた折に目撃、
このニュースは豆ユーレイから幽子、メフィスト二世達、最後に悪魔くんへと芋蔓式に伝達された。
善良な白悪魔を捕らえるという卑劣な行いに当然怒った悪魔くんはこうもり猫だけに任せておけない、と
早速助太刀に行く事に。
宿題から開放され少々浮かれ気味のメフィスト二世は悪魔くんの部屋の中に魔動カーを呼び出した!
「へへ、オヤジに借りて見えない学校の裏に停めといたんだ。」
嬉しそうにキーを見せるメフィスト二世。どうやって外に出すのか考えていないようだが、
外に停めておいた為抜け駆けを許さない鳥乙女とピクシーがちゃっかり無断乗車していた。
そして宿題は三人共幽子と豆ユーレイに頼んできていた。
こうもり猫より宿題逃れの為の者も多数いるが、とにかく魔道カーで出発!

一方、こうもり猫達は問題の古城へやって来た。
内心ビビリつつも仮面を付けたような独特のフェイスのメキシココウモリに啖呵をきるコウモリ猫。
だが、城にはメキシココウモリ以外にもう一人・・・。
「久しぶりだね、こうもり猫・・。」
声のする方を見ると手足に鈴を付けた黒豹が。黒豹はベール付き帽子をかぶった女性の姿に変わる。
この女性は魔女ヘドラ。
地中深くに封印されていたのだが、ルキフェルが東嶽大帝への貢物として人間に味方する悪魔を集めさせる為、
ヘドラを復活させたのだ。
忠実な僕のヘドラは、メキシココウモリを使いご機嫌伺い品を片端から捕らえていたのだ。

液体の入った瓶をちらつかせながらねちり、とこうもり猫を見下ろすヘドラ。
こうもり猫は以前ヘドラと悪魔の契約を交わしており、その契約に背けば生きながら地獄の苦しみを受け続けるゾンビエキスを飲まなくてはいけないのだ。
ヘドラを一目見るなり先程の威勢も吹き飛びガタガタ震えていたこうもり猫だが、自分は裏切り者のチビコウモリを捕らえてきただけだ、と素早く態度を変え、どうみても弱そうな白悪魔がうじゃうじゃいる牢屋へチビコウモリを放り込んだ。
そんな時、悪魔くんがこの城にやってくるという連絡がはいった。
ヘドラは丁度良いと、こうもり猫に「迷宮の間」に誘い出すよう命じた。

そしてメフィスト二世の百目が空中に飛び出すガタガタ運転で問題の城に辿り着いた悪魔くん達。
強風が吹き上げる断崖の階段を登っていると壁にせり出した横穴にこうもり猫が釣り下げられていた。
急いで縄を外し鳥乙女の膝枕で介抱していると突然天井が閉じ始めた。
同時にこうもり猫がガバと飛び起き横穴から逃げ出した!
そして床は崩れ、悪魔くん達は深い穴へ落ちていく。
「仕方なかったんでやんすよーー!」閉じゆく穴に向かってこうもり猫はむなしく叫んでいた。

そんなこうもり猫の魂の叫びも全然届いていない一行はこうもり猫に悪態をつきながら辺りを見回せば、そこは上下左右が
目茶目茶に繋がる不思議な空間だった。
もう脱出不可能な予感がするが、とにかく進むしかない、と魔法陣用に常備携帯している白マジックで矢印をつけ出口を探し
はじめた。しかしその後ろで静かに矢印の位置が変わっていく・・・。

こうもり猫は、次にメキシココウモリと共に白悪魔を捕らえるよう命じられた。
あぱらぱー!」と威勢良く飛び出したこうもり猫は、メキシココウモリにこの近くに大物の白悪魔がいる、と近くの古井戸に
誘い込み、得意のヨイショでメキシココウモリを井戸の中に閉じ込める事に成功。皆を助ける為、急いで城にUターンした!

一方悪魔くん達はエッシャーの騙し絵の様なこの空間をひたすら彷徨い続けていた。
出口は一向に見つかる気配はなく、行けども行けども似たような部屋が続き、何度も元の矢印に戻ってしまう。
その内鳥乙女は喉が渇くと訴えだした。「ぼくもだもん!」と百目も少々キレ気味に。
さすがに悪魔くんは不平は口にせず、なだめながら出口を探していたのだが遂に違う部屋を発見!
そこにはお誂え向きにグラスと液体の入った瓶が用意されていた。
ヘドラが手にしていた、あの瓶が・・・。

その時こうもり猫が戻り、再び名演技でヘドラを外に誘い出そうとしたが、ヘドラが覗いている硝子の三角錐に写る光景に
凍り付いた。
三角錐には悪魔くん達が水分と共に警戒心も蒸発してしまったのか、敵の城内で得体のしれない飲み物を飲もうとする姿が映っていた。
「ゾ、ゾンビエキス・・・!」全身総毛立つこうもり猫。
閉じ込めるだけだといったじゃないか!と叫ぶこうもり猫にヘドラは最初からゾンビエキスを飲ませるつもりだったと言い放つ。
「何てこった・・・俺は、皆を・・・仲間を・・・」後悔と苦渋が頭を交錯する中、
「んじゃ、乾杯といこうぜ!」
と、追い討ちのように能天気なメフィスト二世の声が響く。
「駄目だーー!」
たまらずこうもり猫が三角錐の中に飛び込んだ!

そして乾杯直前の悪魔くん達に飲むなと叫び、強引に鳥乙女のグラスを奪う!
その拍子にピクシーのグラスが倒れ、ゾンビエキスは青白い炎を出して燃え出した!

「罠だ!飲むんじゃない!」多分頼まれても飲まないと思うが、悪魔くんは素早く皆に言った。
同時に部屋が一気に廃墟に変わる。全てヘドラの魔力が作り出した幻覚だったのだ。
その時ヘドラの声が響き渡った。
「裏切り者のこうもり猫、悪魔の掟に背いた罰を受けるがいい!」
見ると、こうもり猫が不気味な笑いをあげつつゾンビエキスを飲もうとしていた。
慌てて全員で阻止しようとするが、ほんの少しこうもり猫の口に入ってしまった!
地獄の苦しみで理解不能の絶叫をあげ、のた打ち回るこうもり猫。
悪魔くんはすぐ解毒剤を作るよう言うが、
「ゾンビエキスの解毒薬なんて知らないよー!」肝心な薬は知らないピクシー。
だったらこんな時はヨナルデだ!とヨナルデを召喚した。
が、「何じゃい、悪魔くんー・・??」
一瞬出て来たヨナルデは見えない力に押されるように魔法陣に戻ってしまう。
「この城の中では魔法陣は効かないのさ!」ヘドラは勝ち誇ったように叫ぶ。

しかし、ヨナルデが戻る最中本を落としていた。
百目が本を取ろうとすると、誰もそこに解毒薬の事が書かれていると言っていないのにヘドラは黒豹化して
本を奪い姿を消した!
悪魔くん達はいきなり本への期待が高まったのか本を奪い返そうとヘドラを探す。と、物陰から光りが。
メフィスト二世はステッキを剣に変え突進!
同時に黒豹ヘドラが出現・・・したが半透明化してすり抜け背後に人間の姿で現れ、
一気に始末するのは趣味ではないのか、手にしたナイフを振り下ろさず後ろから羽交い締めに!

メフィスト二世の危機を見て悪魔くんはメフィスト二世を楯にされる危険を考慮せず
タロットカードを投げつけた!
しかしヘドラはタロットの向きを変え、逆に悪魔くん達を攻撃!
何とか身をかわした悪魔くん達をすり抜けたカードは、城の窓にかかっている分厚いカーテンの一部を切り裂いた。
一筋の光がヘドラを照らす。
するとヘドラは急にメフィスト二世を放して影に逃げ、今度は黒豹化し近くにいた百目を襲う!
ビビった百目、思わず百目フラッシュ!
光の直撃を受けたヘドラは悲鳴を上げ本を落とす。それをすかさずピクシーがゲット、えっちらおっちら逃亡した。
ヘドラの弱点は光だ!
「任せろ悪魔くん!いくぜ、鳥乙女!」「任せて!」
そういって二人は舞い上がり、封鎖されている窓へ攻撃をしかける!
弱点を知られ焦ったヘドラは、悪魔くんさえ倒せば!とナイフで襲い掛かる!
しかしナイフが悪魔くんの頭上に振り落とされる直前、鳥乙女のピンクハリケーンとメフィスト二世の
魔力 ウインドライトボールで一斉に窓や扉の封鎖が破られ、ヘドラは全身に光を浴びる。

「ルキフェル様・・・ハイル・サタン・・・サタンに栄光あれー!」
と叫びながら青白い炎となりヘドラは消失した。白悪魔集めだけでなく悪魔くん抹殺と欲をかいた結果死を招いてしまったのだが、ボスを称えながらの最後、敵ながら天晴れであった。

ヘドラが消滅し契約書が燃えてもゾンビエキスの効力は続き、鳥乙女に再び膝枕されたこうもり猫は依然鼻水を垂らして
ピクピクと苦しみ続けていた。
しかし、ヨナルデが手に持っていた本が偶然にも猛烈にマニアックな薬学書だったのか、解毒薬の調合法が載っており、
それを元に調合した薬により見事に回復!ヨナルデ本体は不必要でした。
こうもり猫は照れ隠しに一言。「宿題やらなきゃ、ファウスト博士に叱られるでヤンスよ〜・・。」
皆で笑い合い、大団円かと思いきや・・・。

「ゴメンなさい、ついお昼寝しちゃって・・・。」と純白の答案用紙を見せる幽子。
予想外の大ピンチ!ファウスト博士の激怒顔が脳裏に浮かぶ・・。この窮地をどう切り抜ける?!
「こうなったら逃げるに限るでゲショ?」
そして5人は一路逃亡の旅に向かったのでありました。めでたしめでたし?

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ファウスト博士から緊急召集された悪魔くんと百目。
全員集合した見えない学校の司令室で、ファウスト博士から大変な事が起こっていると告げられる。
ルキフェルの動きを見張る為世界各地に派遣していた魔眼の一つが、ピラミッド周辺の砂漠から
ミイラが彷徨い出しているのを発見したというのだ。
ミイラ達は地下王国の王、オシリス王が管理している。オシリス王に何かあったのだろうか?
調査する必要があると判断した悪魔くんは、アフリカ出身のユルグに一緒に来てもらうよう頼む。
ここで鳥乙女と幽子、そして象人が同行を希望するが、ここに残って東嶽大帝やルキフェルの動向を
探るのも大切な仕事だ、と言い、希望者の中から象人だけを連れて行く事にした。
何故象人?!
少々理解に苦しむが、とにかく当然の様にメフィスト二世と百目を加えた女っ気ゼロのメンバーで
家獣に乗り、一路エジプトに向かう事になった。

ピラミッド付近のミイラ大発生地域にやって来たが、どうもミイラ達は自分達の魂を探しているらしい。
ミイラの魂はオシリス王が護っているはず・・・やはりどう考えてもおかしい。
悪魔くん達はオシリス王に会う為、代々ピラミッドを守ってきた墓守に案内してもらい、ピラミッド内部の玉座の間にやって来た。

しかし玉座には犬と猪を足して二で割ったような悪顔の男が座っていた。
あれがオシリス王・・・?と訝んでいると、「あれはアヌビスのセトという男だ。」とユルグ。
セトがにやりと笑うと突然入り口が閉じ、墓守がローブをとる。何と中身はミイラ!
先程は人間の口元が見えていたような気がするが、とにかく罠はまってしまったのだと悟ったその時
セトが先端に小さなピラミッドが付いている少々趣味の悪い杖をかざした。
すると床からミイラが次々に湧き出して来る!
ミイラなど敵ではない、とばかりにメフィスト二世が魔力 稲妻電撃を放つ!・・・が発動しない。
ならば、と放った火炎放射も以下同文。
象人の鼻息魔力も何故か使えず、止む無くダッシュで撤退、その後をミイラ達が追う!
追い詰められた悪魔くん達だが、偶然どんでん返しになっている隠し通路の壁に激突し
運良くミイラ達の追っ手から逃れる事が出来た。

隠し通路は狭い一本道になっており、そこで何故魔力が使えないのか不思議がりながらもへたり込む悪魔くん達。
百目がふと目を上げるとそこには唐突に彫像が設置されていた。
それを何も考えずいきなり頭を取り上げる。すると頭は簡単に抜けてしまった。
と、通路の奥から何か音が・・・。
何と通路いっぱいの石が両側から転がってきている!墓泥棒の罠が作動してしまったのだ!
「僕、泥棒じゃないもんー!」泥棒ではないが、器物破損した地点で立派な罪人です。
そう言っている間に石は目前に!
もうだめだ!と思ったその時、百目が「ゴメン!コレ返すから許してだもん!」と彫像の頭を元の場所に置いた。
すると石は直前で止まった。
助かった・・・と思った瞬間、床が崩れ、悪魔くん達は地下に落ちていった!

落ちた先は石畳の何もない広間だった。と、象人のが誰かを発見した。
隅の方を見ると、紀元前そのままの衣装を着た女性が縛られ、おびえた表情でこちらを見ている。
「大丈夫、僕達は怪しい者じゃありません。・・可哀想に、よっぽど酷い目にあったんだな・・・。」と
子供らしくない口調で女性の縄を解く悪魔くん。
女性を見たユルグは「あなたはひょっとして、イシス王妃?!」と言った。
「はい、私はオシリス王の妻、イシスです。」

イシス王妃の話によると、オシリス王の部下だったセトが反乱を起こし、イシス王妃を人質にしてラーの杖を奪い、
ミイラ達の魂を手中に収めてしまったらしい。
そしてオシリス王を1000年に一度、死者の魂を天国に運ぶという天空船に監禁した上、その天空船ごと
ルキフェルの待つ魔空間へ向かっているというのだ。
強烈にシビアな状況になっているようだが、とにかく現状を打破しなくてはいけない!
だが、先程セトが手に持っていたセンスを疑う杖がラーの杖であり、
そのピラミッドパワーでミイラ達を操り、メフィスト二世らの魔力を封じていたのだ。当然魔法陣も使えない・・・。
なんとも不利なこの状況にいきなりあきらめモードになり神に祈り出す王妃。
「あきらめちゃ駄目だ!魔力は使えなくても僕達に出来る事があるはずです!」
「頑張るんだもん、王妃!」
それを敵の陣中罠まっただ中で励ます悪魔くん達。
ようやく王妃の顔に笑顔が戻ってきた時、上方の壁の一部が開き、セトが笑い声と共に姿を現した。
そしてミイラ達を操り、エジプト全土を支配してルキフェルに認めてもらうのだ、と
壮大なのかケチなのか分からない野望を言い放つだけ放つと再び姿を消した。
ただ自慢するだけで顔を出したのかと思いきや、天井がゆっくりと下がってきた。
全員押し潰すつもりなのだ!
悪魔くんは象人と家獣に天井を支えるように指示し、手分けして抜け道がないか探しだした。
悪魔くん達は壁を叩いたり体当たりして必死の面持ちで抜け道を探し、王妃は抜け道を探そうとせず祈り続けている一方、
百目は「抜け道抜け道〜」と生命の危機を理解しているのか疑問に感じる様子でキョロキョロしていた。
すると、先程と全く同じ彫像が再び唐突に設置されているのを発見。
又頭を取ろうとするが、流石に学習したのか、躊躇する。

その間にも天井は確実に下がり、とうとう家獣の足が床に着くほど天井が迫ってきた!
百目はこうなれば駄目でもともと、と「迷惑かけたらごめんー!」叫びつつ彫像の頭を取り上げた!
今度は吉と出て、天井は丁度家獣の幅で止まり、更に壁の一部が上がって出口が出現した。
「よくやったぞ、百目!」もともとは百目のせいなのだが褒める事は忘れない悪魔くん。

何とか部屋を抜け出し通路を走っていると、急に王妃が王家の言い伝えを話し出した。
太陽が中空に昇る時、黄金の部屋で王妃のペンダントに付いているラーの石をかざせば、
大いなる力がピラミッドの中を満たすだろう、というものがあるらしい。
「つまりセトのピラミッドパワーの力を、一時的に奪う事ができるかもしれないんですね!」
悪魔くんがこのファジーな言い伝えを懇切丁寧に翻訳する。

しかし王妃はラーの石を使えば24時間後にスフィンクスが目覚めてしまい、
オシリス王の不在を知れば怒り狂い暴れ出してしまうに違いないと言う。
しかもチャンスは太陽が真上にくる一回のみ。
これ以上ない程ハイリスクだが、今はこの作戦に賭けるしかない。
悪魔くん達は王妃を守りながら黄金の部屋に向かった!

部屋に続く道々続々とミイラ達が襲い掛かって来たが、象人と家獣、そしてユルグがその場に残って食い止め、
何とか黄金の部屋に辿り着く事が出来た。
イシス王妃は部屋の中央に跪き、ラーの石を掲げ祈り始めた。

しかしセトとミイラ達が黄金の部屋にやって来てしまう!ラーの杖で号令を出すセト。
メフィスト二世、百目、そして悪魔くんも肉弾戦で必死に王妃を守る!
周りの大乱闘に全く動ずる事無く王妃は祈り続ける。
そして太陽が中空にやって来た瞬間、ピラミッドの頂点から一筋の光がさし込んできた!
寸前で王妃の体が傾ぐもとっさに悪魔くんが支え、ラーの石に太陽光が当たった!
その瞬間、セトのラーの杖から赤い閃光が吹き出す。
閃光が消えると今まで杖の先端に灯っていた光も消え、ミイラ達も苦しみ始めた。
ラーの杖の魔力を封じる事に成功したのだ!

魔力さえつかえればこちらのもの。
一気に形成逆転したセトはピラミッドの隠し通路から逃げ出そうとする。
「そうはいくか、魔力 火炎放射!」
途中で扉が閉まるも、逃げ切ったと安心しているセトに、恨みのこもった炎が追いかけてきた!
炎はマントに燃え移りカチカチ山状態。しかも後方から悪魔くん達が追いかけてくる。
セトはとっさに下に流れる川に身を投げる。
しかしこの川は地獄に通じており、セトは結局地獄送りとなったのだ。
捨て台詞を残して川に沈むセト。「けっ、愚かな奴めが。」とメフィスト二世。

イシス王妃はラーの杖を使い、封じられていた魂を開放した。
迷い出して来たミイラ達も大人しく地下に戻っていき、ひとまずエジプトは救われた。
しかし、次の太陽が中空に昇るまでにオシリス王を救い出さなくては!

だが、天空船のある魔空間へは非常に強力な飛行能力がなくては行く事ができない。
見えない学校に戻り、ファウスト博士に相談する悪魔くん。
しかし、ファウスト博士は謎の言葉を発するのみであった。
「聖なる調べ聞こえし時、希望の翼は羽ばたき、いかなる空をも越えて行くであろう・・。」
この言葉の意味するものとは一体・・・?

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オシリス王が囚われている魔空間へ行く為にはどうすればいいのか、
ファウスト博士は静かにこう言った。
「聖なる調べ聞こえし時、希望の翼は羽ばたき、いかなる空をも越えて行くであろう」
『聖なる調べ』とはソロモンの笛の事。では『希望の翼』とは・・?
「見えない学校じゃ!」
ソロモンの笛の力を使い、見えない学校を浮上させる以外に魔空間に行く方法はないと言うのだ。
しかし、その為には想像を絶する力が必要であり、悪魔くんの生命に関わるかもしれないのだ。
「やってみるしかない、僕の生命を賭けても!」
決意を胸に、悪魔くんは一人最上階へ向かっていった。

やがて、食堂に集まっていた十二使徒の耳にソロモンの笛の音色が聞こえてきた。
とうとう、始まったのだ。
たまりかねた様子で、自分達はこうして待っている事しかできないのか、とメフィスト二世に問う幽子。
その言葉に反応した鳥乙女が、自分達も悪魔くんの力になれるかもしれない、悪魔くんの所に行こうと提案する。
「皆が行かないなら、あたしだけでも行く!」
皆の気持ちは一つ、全員悪魔くんのいる最上階へ駆け込んだ!

十二使徒達の目に飛び込んできたのは生命力を吸い取られている悪魔くんの姿だった!
すぐに悪魔くんの周りに駆け寄り、自分達の力も使ってくれ、と見えない学校に訴える。
見えない学校はそれに答え、十二使徒の生命力も吸収しだした。
その分、悪魔くんの生命力を吸収する勢いはゆるやかになる。
『皆の・・・声がする・・。』

全員じっと苦しみに耐えていたが、そのうち誰からともなく手を繋ぎだした。
次第に苦しみが和らいでいく。
同時に十二使徒を結ぶ赤い光が流れだし、悪魔くんを囲む光の輪となった。

『見えない学校よ、皆の心が聞こえるかい・・・。』
悪魔くんは心の声で見えない学校に語りかけはじめた。

『君の力がどうしても必要なんだ。僕達に力を貸して欲しい!』
十二使徒と悪魔くんの力が螺旋を描いて一つになる!

羽ばたけ、希望の翼よ!
その瞬間生命玉が輝き、見えない学校が浮上した!

全員疲れ果てていたが、この偉業を成し遂げた事を喜び合う。
ファウスト博士は十二使徒達に、ここまで悪魔くんを助ける事ができるとは思っていなかった、と自分の生徒に対する信頼度を暴露
するような賞賛をした。
悪魔くんは疲労でふらついているが、戦いはこれから。
オシリス王を救わなくては!全員で気合を入れ、魔空間に突入した!

魔空間は雷鳴轟き幻の巨岩が浮遊するまさに魔の空間だった。
激しい振動に耐え進んでいくと、天空船を発見!

船の中央部の塔にデンと置かれているピラミッド内部を魔眼で見てみると、オシリス王の姿が。
と、いきなり画面が竜のアップに!
ルキフェルの配下の四天王の一人、プルトーが襲って来たのだ。
家獣に乗り込みいざ出陣!

出会い頭に火球を食らいそうになるが、
見えない学校が何でも物を擦りぬけてしまう力を持つ魔煙でサポート、
悪魔くん達は天空船に辿り着いた。
鳥乙女は、自分達がプルトーの足止めをするその間にオシリス王を助け出してくれと言う。
しかし十二使徒の攻撃はことごとくかわされ、逆に竜の火球でこうもり猫と鳥乙女を巻き込み悪魔くん達にストライク!
そのまま全員ボーリングのピンの如く豪快に吹っ飛んでいく。
プルトーはメフィスト二世を片手で吹き飛ばす程の強敵。
ただでさえ苦戦は必至なのに、全員体力は限界寸前。絶対的に不利な状況であった。

遂に悪魔くんも壁に叩き付けられ、さりげなく余波を受けたヨナルデも倒れ込んでしまう。
ルキフェルに良い土産が出来たと上機嫌で悪魔城を見上げるプルトー。
もう悪魔城は目前に来ている。
そして、エジプトではとうとう太陽が中空に昇り、スフィンクスが目覚めはじめてしまう。
もう、これまでなのだろうか・・?
見えない学校が嘆き悲しんでいるように生命玉が光る。
連動するようにソロモンの笛が光り、それに呼ばれるように悪魔くんが目を覚ました。
周りを見ると、動けなくなっている十二使徒達の姿が。
「みんなを・・・助けなきゃ・・。」
ソロモンの笛を手にとり、笛を吹き始める悪魔くん。

「いかん!その体で笛を吹けば、今度こそ・・・!」
悪魔くんの意図を察したファウスト博士は叫んだ。
それでも悪魔くんは吹き続ける。

『仲間を見殺しになんかできない・・・。僕達は諦める訳には行かないんだ!
僕の残る力を全てあげるよ・・・だから・・・立ち上がって、皆・・!』
悪魔くんの目から一筋の涙が煌く。

悪魔くんの心と共鳴したように生命玉から光が溢れ、十二使徒に降り注ぐ。
すると十二使徒に生気が蘇った!
そして悪魔くんを護るように周りに集まった十二使徒と悪魔くんの力が共鳴し、未知なる力を呼び起こすと言う六芒星を描いた!
悪魔くん達から青いオーラが立ち昇り、それが一筋の光となってオシリス王のいるピラミッドに突き刺さる!
と、黄金の光がピラミッドから放出し、オシリス王が現れた。呪縛から開放されたのだ!

「おのれ!だがもはや天空船は悪魔城に着いたも同然。
オシリス王など無用の長物!悪魔くんと共にくたばるがいい!」
プルトーは初めて聞くオシリス王軟禁の理由を叫びながら攻撃をしかける。
しかしオシリス王は強大な力でプルトーを弾き飛ばす!
その強力な光で魔空間は黄金の光に包まれた・・。

一方、エジプトではスフィンクスが動き始めてしまった。
そこへ見えない学校が光の中から現れた!
「静まれ、我が王国の守護神スフィンクスよ!オシリスはここにあり!」
王の無事を確認してスフィンクスは再び眠りについたのだった。

オシリス王は「地上を護れるのは君しかいない。頼むぞ、悪魔くん!」と言い、悪魔くんと固く握手を交わす。
見えない学校という強力な味方が出来た悪魔くんは、どんな敵が来ても負けない、と決意も新たに気合を込めるのだった。

ひとまず最悪の事態は回避できた。しかし、天空船はルキフェルの手に渡ってしまった。
ルキフェルは四天王を使い、世界各地の霊魂を集め、強大な力を手に入れるつもりなのだ。
そしてちゃっかり逃げ延びていたプルトーは隣のアインの意地の悪い視線を受けつつ悪魔くん達に復讐を誓っていた。
果たして悪魔くんはルキフェルの手から天空船を取り戻す事ができるのだろうか?

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悪魔くんが見えない学校を浮上させた!その衝撃ニュースは魔界の奥底まで到達していた。
その事について東嶽大帝から呼び出しをくらうルキフェル。
当然ご機嫌斜めの東嶽大帝に、ルキフェルは天空船を太古の霊魂で満たせば強大な力を持つ事ができ、
そうなれば見えない学校など敵ではない、と余裕の態度で弁明した。
それもそのはず、ルキフェルの頭には既に計略が出来上がっていたのだ。

悪魔城に戻ったルキフェルはさっそく四天王達を召集した。
日本には太古の霊魂が眠る大地があり、それは「黄泉の石柱」という柱で封印されている。
それを護っているのが玄武・青竜・朱雀・白虎の四神である、と前置きした後
今回の作戦を説明しだした。
その作戦とは、
1.太古の精気を操る事が出来るハクタクという悪魔の力を借りて、四神を操る。
2.四神の力を使い黄泉の石柱を引き抜き、日本に眠る太古の霊魂を根こそぎ頂戴する。
3.黄泉の石柱を引き抜いた結果起こる連鎖反応で世界中の霊力帯に異常現象を起こす。
と、僅かな労力で大きな収益を生み出す実に無駄の無い計画であった。
流石に今までの敵とは一味違う壮大な謀略である。

小鼻を掻きながら発言をしていたプルトーが名誉挽回とばかりに立候補をした。
しかしエジプトで失敗した奴はひっこんでろ、とベリアルが横から割り込んでくるという殺伐とした関係ぶりを見せつけながらも
結局二人で任務遂行する事になり、日本に向かっていった。

まず作戦の第一段階の為、日本の何処にあるのか気になる瘴気漂う毒々しい沼地にやって来たプルトーとベリアル。
「ハクタク!貴殿に用があってきたのだ!」
すると、沼から出てきた複数の浮遊霊が集まり、強面髯ダルマの姿となった。
「頼む、貴殿の力が必要なのだ。」と二人は悪魔界一高いと評判の誇りをかなぐり捨て膝を付き、
彼らとしては最大級の敬語で頼み込んだ。
敬語の使い方は三級品とは言え、プライドより任務を取るとは勤め人の鑑である。
その低姿勢の説得がハクタクの自尊心を大いに満足させたようであっさりと協力をOKする。

そして黄泉の石柱のある山にやって来たハクタクは太古の精気を操り、
玄武・青竜・朱雀・白虎を次々に目覚めさせ、寝起きの隙をついて操る事に成功。第一段階は完了した。
ハクタクの操り人形と化し目つきも凶悪な四神は、その力で黄泉の石柱を引き抜き始めた・・・。

一方、見えない学校では、見えない学校を動かした事により第一課程が終了したとして、卒業式を行っていた。
卒業証書授与が始まり、第一使徒のメフィスト二世から卒業証書が手渡される。
その記念すべき瞬間を百目が情報屋から借りてきたカメラで撮影!
メフィスト二世は照れてシルクハットで顔を隠し、
ユルグはいつものポーカーフェイスを脱ぎ捨てスマイル&ピースサイン!
そしてカメラマン百目は自分の番が来ると借り物のカメラを投げ捨て証書を受け取り、
サシペレレはファウスト博士に変身したりと皆いつもよりハイテンションに。

そして卒業証書授与の後は一気に無礼講モードでレッツダンス!
幽子とメフィスト二世はワルツを踊り、鳥乙女とこうもり猫はバレエを舞い踊る。

そして締めくくりに皆で見えない学校をバックに集合写真を撮る事になった。
背が小さい人は前、大きい人は後ろに、と配置を指揮っている鳥乙女の側でこうもり猫が
「メフィスト二世と鳥乙女は後ろだな。態度がおっきいから〜。」と正直な一言を言い、
おっきい二人に挟まれピンチになったりしながらも全員並び終わり、
カメラマンとなった悪魔くんがファインダーを覗いたその時、生命玉が点灯しているのを目撃する。
そしてハクタクに操られた四神により黄泉の石柱が引き抜かれている光景が魔眼から送られてきた。
天空船に太古の霊魂が運び込まれれば天空船はもはや敵となってしまう!
悪魔くん達は家獣に乗り現場に急行した!

問題の山付近に来ると、待ってましたとプルトーとベリアルが襲来!
悪魔くん達は地上に降り戦闘態勢に入った!
しかし相手はルキフェル直属の四天王二人。ピンクハリケーンも稲妻電撃も全く通用しない。
家獣が四神のエネルギー波を反射させようと捨て身でエネルギー波の中に入りエネルギーを反射させるが、
あまりに膨大なエネルギーの為一部しか反射できず、周囲が山火事になっただけで弾き飛ばされてしまう。

悪魔くんは鳥乙女とメフィスト二世の主戦力コンビは四天王を、それ以外はハクタクを攻撃するように命令した。
だがハクタクはバリヤーを張り完全防御してしまい全く手が出せず、逆に全員プルトーとベリアルから大ダメージを受けてしまう。
悪魔くんの側にいただけのヨナルデはこうなればソロモンの笛で四神に取り憑いている太古の精気を祓うしかない、と助言する。
十二使徒は悪魔くんの周りに集まり体を張って守る体制をとる中、悪魔くんはソロモンの笛を吹き始めた。

プルトーとベリアルは一塊になった悪魔くん達を一斉射撃せず、丁寧に一人づつ狙い撃ちする。
悪魔くんを守っている十二使徒は抵抗できず吹き飛ばされていく。
勝ち誇るプルトーとベリアル。
だが・・・
「悪魔くん・・一人だけじゃないんだ・・」
傷つきながらもメフィスト二世が立ち上がった。
「俺達全員が・・・心を一つにして・・ソロモンの笛を吹いてるんだ・・!」
残りの十二使徒も次々と立ち上がっていく。
そしてその体から青いオーラが立ち昇り始め、十二使徒を繋いだ。
何かが起きようとしている事を察知したベリアルはようやく悪魔くんを狙うが、見えない力に守られた悪魔くんは
攻撃が直撃しても2・3歩後退するだけに止まる。

悪魔くんの脳裏に十二使徒達の姿が浮かぶ・・すると十二使徒を点として六芒星が浮かび上がる!
そして十二使徒の力が悪魔くんに注がれ一つの蒼いオーラとなり、太古の精気を打ち祓った!

正気に返った四神は驚き戸惑うハクタク、そしてベリアルとプルトーに目を向けるやいなや問答無用で攻撃!
その強力な力は悪魔を一瞬で消し去ってしまう!
そして黄泉の石柱は元通り封印され、四神は再び太古の霊魂を護る為、眠りについた。

六芒星を発動させ、精根尽きた悪魔くん達の前に見えない学校とファウスト博士が現れた。
そして先程の力が六芒星の力であり、究極の六芒星と運命数の働きを知る事で大いなる力を発揮できるのだと言った。
更に、今の力ではルキフェルには対抗できないだろう、皆が十分力をつける時まで見えない学校を隠すと言い、
見えない学校を一人で動かす密かな実力者ファウスト博士
と共に見えない学校は消えていった。

・・さあ、行きなさい。見えない学校はいつも諸君達と共にある・・・。
ファウスト博士の言葉を胸に、悪魔くん達は新たに決意を燃やすのだった。

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ルキフェルの魔手から逃れる為、ファウスト博士と共に姿を消した見えない学校。
それは新たな旅立ちであると同時に、十二使徒の居住問題を発生させる事になった。
ユルグ、妖虎、象人は東嶽大帝の所在地探索の為中国へ派遣され不在だが、
残りの使徒はまさか悪魔くんの家に居候する訳にもいかず、いつもの洞窟を仮の住まいとしていた。
いきなり自給自足のアウトドア生活を強いられてしまった十二使徒、悪魔と言えども秋風が身に凍みる。
当然暖房器具などある筈無く、焚き木を囲んで今後の対策を練っていた。
ヨナルデはルキフェルが天空船を奪った事で各世界のバランスが乱れ、いずれ人間界にも影響が出てくるだろう、と
あまり嬉しくない事を言った。

その頃、幽子と百目の子供コンビは薪拾いに精を出していた。
薪も大分集まりそろそろ帰ろうとした時、夜空に切り裂かれたような裂け目が走った!
そして裂け目から光る球体が飛び出し、季節外れの花火が乱発!
いきなりの大音響にビビリ倒す百目と対照的に、肝の据わった幽子は「綺麗・・。」と見とれていた。
と、花火の中から光るものが落下するのを目撃した幽子は、必要以上に怯えている百目と豆ユーレイを残し落下地点に向かった。

そこには赤く光るものがあった。
「誰、あなた?」得体の知れない相手に丁寧に問いかける幽子。
すると光は音も無く幽子に近づき・・・。
「きゃー!!」
あたりに響き渡る幽子の悲鳴!それを百目が聞きつけ駆けつける!

気を失っていた幽子は洞窟内に運びこまれた。ピクシーの診察の結果、ただ気絶しているだけだと分かり一安心。
「蛇でも踏んだんじゃねえのかな〜、幽子の奴。」と薄情な事を言うメフィスト二世。
とにかくこのまま寝かせて様子を見ようと言う事になった。

そして同じ頃、裂け目から飛び出した小さな光が町中を飛び交っていた。
丁度時刻は夜のくつろぎの時間。
埋れ木家は息子がまだ帰らない事を楽しそうに語りながら、久しぶりのすき焼きで夕食をとり、
貧太家はのんびりテレビで野球観戦、情報屋家も家族揃って歓談中、
キリヒト家は優雅にコーヒーを飲みながらトランプを楽しみ、
それぞれ生活様式に差があるものの家族揃って団欒の一時を楽しんでいた。

そして夜も更け、悪魔くん達が洞窟内で火の番も無しに雑魚寝で眠りについた頃、目を覚ました幽子は無言で立ち上がり、
何処かに立ち去ってしまった。

一夜明け、幽子が居なくなった事を発見した悪魔くん達は辺りを探していた。
こうもり猫は悪魔くんの家に行ってチャッカリ朝食食べてたりして〜と冗談交じりに言い、鳥乙女の氷の眼差しを頂戴する。
幽子はそんなメフィスト二世のような事はしないと思うが、念の為悪魔くんは豆ユーレイを髪の中に収容して百目と共に家に帰った。

自分が無断外泊した事に罪悪感を感じていない様子で玄関を開けると、信じられない光景が飛び込んできた。
「学校なんて行きたくないって言ってんのよ!アタイが何しようとアタイの勝手でしょ!
アンタにとやかく言われる筋合いはないわ!」
何とエツ子がランドセルを投げつけスケ番口調で両親に悪態をついているのだ!
そして悪態をつくだけつくと、そのまま大股で出て行ってしまった。
親子喧嘩の理由は何なんだと尋ねると、娘の変貌ぶりのショックで息子が朝帰りしている事など霞んでいる両親は、
どうしたもこうしたも、今朝起きたらまるで別人になっていた、と唖然としながら言った。
埋れ木家に突如吹き荒れる反抗期の嵐!しかしこの嵐は埋れ木家だけではなかった。

貧太はこんな「不味い料理なんて食べられないよ!」とちゃぶ台ごと食事をひっくり返し、
情報屋は「親だ親だって威張るんじゃないよ、ケッ!」と暴れまくって部屋をメチャメチャにし、
キリヒトは懐かしの刑事ドラマ風サングラス着用で教科書を引き裂き、とどめに
「僕、今日から不良になりますからそこんとこヨロシクゥ!」と
ヤンキー言葉で家を出ていってしまう。
揃いも揃って壮絶な親不孝ぶり。一体皆はどうしてしまったのか?

飛び出したエツ子を探している途中、キリヒト家の前を通った悪魔くん達。
そこで「悪い夢を見ているのだわ、きっとそうよ!」と半ばパニックになっているキリヒト母から上の顛末を聞き、
この一斉のバイオレンスな反抗期に首を傾げていた。
そこにメフィスト二世が大慌てで飛んできた。幽子を探している最中にとんでもないものを見た、と言う。
メフィスト二世に連れられ現場にやってくると、そこは重力を無視してビルの窓の上に立ち、空飛ぶ車や看板に乗って大暴れする
反抗期キッズで溢れかえっており、その中に、空飛ぶオープンカーを乗り回すエツ子や貧太らの姿もあった。
「こ、これは一体・・・?!」
あまりにも常軌を逸したこの光景に呆然とする悪魔くん達。
メフィスト二世のシルクハットからニョキッと出てきたピクシーが自分達が確かめると言い、悪魔払いの薬草をあたりに振り撒いた。
と、子供達の口から光る球体が抜け出し、小さな子供の姿となったかと思うと花火のように弾け分裂した!
「あれは花火幽霊!」
悪魔くんは即座に事態を理解した。花火幽霊が子供達に取り憑いていたのだ。
メフィスト二世は魔力 金縛りロープで花火幽霊を捕獲しようとするが、何者かが魔力を弾き返した!
驚くメフィスト二世、視線の先にいたのは・・・幽子!
幽子も花火幽霊に取り憑かれてしまったのだ!

目付きも凶悪な幽子@花火幽霊は、金縛りロープで逆にメフィスト二世を縛り上げ、もっと大騒ぎをしてやろうと
貧太@花火幽霊の運転する車に飛び乗り、そのまま飛び去ってしまった。
悪魔くんはステッキでゴンゴンッとロープを叩いてようやく開放されたメフィスト二世と共に幽子達を追った!

追跡途中で花火幽霊について説明する悪魔くん。
花火幽霊は、子供に取り憑きいたずらをするという霊界に住む子供の悪魔で、本当は悪い悪魔じゃないと言う。
今までの行いを見る限り、ある意味東嶽大帝より凶悪な存在だと思うのだが、そうしている間に前方から花火幽霊達の車が現れ
空中当て逃げ攻撃を仕掛けてきた!
たまらずバランスを崩し、ゴミ捨て場に落下!

集まってきた花火幽霊に何故自分達の世界から離れてこんな事をするのかと尋ねると、花火幽霊達はフテ腐れた口調で
霊界に出来た穴に落ちて帰れなくなってしまい、それでヤケになって暴れているのだ、と話した。
迷惑な事限りないが、その穴というのはヨナルデの言っていた各世界のバランスの乱れで生じたものだと悟った悪魔くん。
「ヤケになっちゃ駄目だ!僕達が必ず霊界に送り返してあげるよ!だから・・!」
不良に更正を呼びかける熱血教師のように説得する悪魔くん。
しかし、悪魔くんの博愛精神が通じない花火幽霊達は、邪魔をすると許さない、と集合して巨大な輪となり、
悪魔くん達に襲い掛かった!
ねずみ花火のように弾け回る花火幽霊の火花で、メフィスト二世のマントが火事に!
堪忍袋の緒が切れたメフィスト二世は拳で説得しようと攻撃態勢に入るが、悪魔くんは花火幽霊がこちらに迷い込んできたのは
ルキフェルから天空船を守りきれなかった自分達のせいでもある、と花火幽霊を庇う。

その隙にバチバチッ!とやられ焦げつく悪魔くん達。
たまらず幽子の元に駆け寄る豆ユーレイと百目も情け容赦なくねずみ花火の餌食に。
ヨレヨレになりながらも説得を続ける悪魔くん。
このままだと、取り憑いている子供も親も不幸にしてしまうのだ、と言うと、
自分達は親がいないのに、人間の子供は親がいて幸せそうにしている、不公平だ。だから世界中の親達を困らせてやるのだ、と言う。
嫉妬と憂さ晴らしの両方の理由から子供に取り憑いているようだ。

その時、
「僕も・・・パパやママがいる子・・・羨ましいもん・・・。」
百目がヘロヘロになりながら這いずってきた。
「だけど、僕・・・辛抱するもん・・!僕、泣かないもん!」
ぐっと涙を堪えて笑う百目。
幽子を探していた鳥乙女達も白昼堂々姿を見せながら集まってきた。
そんな中、
「私達が間違ってたわ、悪魔くん・・。」
唐突に百目の気持ちが通じて謝罪する花火幽霊。
でもどうやって自分達を帰すつもりなのか尋ねられると、
「それなら大丈夫。ねっ、メフィスト二世。」
とツーカーの二人はソロモンの笛と魔力 死出のメロディーの協力技で霊界までの道を開いた。
「これは霊界へと導く死出の・・・いやいや、旅立ちのメロディーだ。安心して帰りな。」
「ありがとう、さようなら・・!」
花火幽霊達は町をメチャメチャにしたまま自分達の世界へ帰っていった。

そして正気に戻った子供達は自分の家に帰っていった。
己のした行いにショックを受け失神したキリヒト以外の子供達は、号泣する親を見て訳が分からずキョトンとしていた。
今日学校はどうなっていたのか気になるが、とにかくこれで一件落着。

幽子も元に戻り、皆に迷惑をかけた事を謝っていた。
「でも、なっ。十二使徒のくせにあんなガキ悪魔に取り憑かれるようじゃ、まだまだ修行が足りないぜ。」というメフィスト二世に
「でも幽子ちゃんの照魔鏡でひっくり返ってたの、誰だったかも〜ん?」とすかさず百目のツッコミが入る。
ようやくいつものムードが戻り笑い合う中、悪魔くんは心配していた人間界への影響が出てきたと思案顔に。
その時、満月が突然赤く輝きだした。
「あれは・・・」
赤い月を見た鳥乙女の表情が変わる。赤い月、それは何を意味しているのだろうか・・・。


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