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天空船が奪われた事で各世界のバランスが崩れ、その影響が人間界にも出始めていた。
そんな中、突如赤く輝きだした月を見た鳥乙女は、何かに呼ばれている気がしてならず、サシペレレ、こうもり猫と共に
イースター島にやってきた。
しかし島は平和そのものといった感じで静まり返っており、何か起きる気配は感じられない。
そこでサシペレレが旅行者に化け、偵察に出かけた。
町に出たサシペレレは、揺り椅子で主人が眠りこけている忙しさと対極にある宿屋に宿をとり、スイートという名の
普通の部屋
に案内される。
さりげなく何か変わった事がないか尋ねてみると、今までの愛想の良かった宿屋が急に怖い顔になり、
「変わった事だと?」とドスをきかせて凄みだした。
そのバイオレンスな雰囲気に思わず後ずさるサシペレレ。
すると、いきなり窓の外から老人が出現し、「帰れ!鳥人祭の日に余所者が島に入り込むとは不潔な!」と、
じゃあ宿屋が営業しているのはどういう事かと言う疑問が生じる隙がない程の迫力で、会話に乱入してきた。
その老人と宿屋が言うには、今日は鳥人祭と呼ばれる古くから伝わる祭りがある日で、
地獄の死者が島の者の霊魂を奪いに来る、それを防ぐ為に断崖にある光る海燕の卵を取り、神に捧げなくてはいけないらしい。
老人は、赤い月が昇り十三匹のコウモリが現れ、モアイが血の涙を流す時、地獄の死者が現れ汝の魂を奪うであろう、と
顔面アップになりながら力いっぱい脅かした。
鳥乙女らの元に戻ったサシペレレは、先程の出来事を報告し、ルキフェル達は鳥人祭を利用して霊魂を奪うに違いないという
結論に達した。

一方、悪魔くんはヨナルデを連れ、メフィスト二世が運転する魔動カーでイースター島に向かっていた。
ヨナルデが、赤い月はイースター島の地獄の使者が現れる兆しという事をワンテンポ遅れて思い出したのだ。
「早く、早くメフィスト二世!」
あせる悪魔くんはメフィスト二世を必死にせかし、メフィスト二世は「これで精一杯だよ!」とハンドルをすっぽ抜けさせながらの
危険極まりない運転をしていた。

この、無事に辿り着けるのか不安になるような光景を見つめる者がいた。
三つの犬の顔を持ち、貴族ファッションに身を固めたグラシアラボラスが、イースター島の洞窟に椅子持参で悪魔くん達を監視
していたのだ。
勿論目当ては地獄の使者が狩る予定の島民の霊魂。
鳥人祭が始まるまで悪魔くん達に邪魔はさせない、と大竜巻を発生させた。
大竜巻は自動追跡で悪魔くん達に襲い掛かる!メフィスト二世は何とか振り払おうとするが追いつかれてしまう。
「何とかしてくれ!」という悪魔くんの要求に、メフィスト二世は突如魔動カーごと海にダイビング!
竜巻は流石に海中までは追ってこず、魔動カーが飛び込んだ地点に居座っていた。
その様子を見て、実に満足そうに「これで良い。あの竜巻からはそうやすやすと逃げられまい。」と言い、これ以上手を出さない
グラシアラボラス。悪魔くん抹殺より霊魂集めの方が重要なようです。

海でそんな出来事があった頃、鳥乙女は海の向こうに鳥の頭を持つ人間のような島が霞んで見えるのを発見する。
鳥人祭が行われるオロンゴの遺跡のある島だ、とサシペレレは言った。
島を見つめる鳥乙女の頭に渡り鳥の鳴き声が鳴り響き、何故か無性に懐かしさが込み上げてくる。
そして、誰かに呼ばれている気がして居ても立ってもいられなくなり、こうもり猫達に日が暮れるまでには帰ると言い残し、
オロンゴの遺跡に向かって飛んで行った。
サシペレレも、もう一度旅行者に化けて情報収集に出かけていった。
こうもり猫はと言うと、サシペレレを「演歌の司会みたいだな!行け行け!」とこれ以上ない程的確な描写で送り出し、
休憩を決め込んだのだが、不気味なモアイに囲まれてただ一人、というこの現状を把握した途端、俄然労働意欲が湧き出し、
慌てて鳥乙女の後を追っていった。

オロンゴの遺跡のある島の頂上に辿り着いた鳥乙女。すると「待っていたぞ、ナスカ!」と、背後から声がした。
鳥乙女が振り返ると、そこには馬の顔に人間の胴体、背にある孔雀の羽でかろうじて鳥属性が感じられる悪魔がいた。
その悪魔は自分の名はアンドレアル、偉大なる鳥人悪魔族の王マケマケの命により、鳥乙女が生まれ故郷に帰ってくるのを
待っていたと言った。
自分の故郷はペルーのナスカ高原だと言う鳥乙女に、アンドレアルは鳥乙女の母親がこの島に住む鳥人悪魔族の一員だったと言い、更に、衝撃の事実を告げた。
「お前の両親は、母が鳥人で、父が人間だったのだ。」
「ええっ!」
言葉を失う鳥乙女に、アンドレアルは鳥乙女の両親の事を語り始めた。

鳥乙女の父親は、かつて鳥人祭で光る海燕の卵を取り、一歩神に近づいた人間だった。
父は、ある嵐の日に海岸で倒れていた鳥乙女の母を発見し、やがて二人は恋仲になった。
しかし、鳥人と人間が愛し合う事は鳥人悪魔族の掟に背く事。
母はマケマケによって翼を奪われ、ペルーのナスカ高原へ追放された。
その際、子供が再びこの地に戻った時、子供の鳥人としての名誉は回復するだろう、という予言が告げられた。
母は、翼さえあれば父の元へ帰れるのに、という思いを込めナスカの地上絵を描き、その後鳥乙女を産むと同時に鳥人の寿命を失い、帰らぬ人となった。そして父も後を追うように熱病に倒れてしまう・・。

あまりの真実に、膝を付き涙を流す鳥乙女。
「今、お前の鳥人としての名誉は回復されたのだ!」というアンドレアルの言葉も、鳥乙女の耳にただ空しく響くだけだった。
アンドレアルは、鳥人悪魔族の元に来るか、と鳥乙女を誘う。
しかし、鳥乙女はきっぱりと首を横に振る。
そして、名誉より仲間を取る事に後悔はしないな、と言う問いに
「皆と一緒に全ての美しいものを守る為に戦う事が、あたしの鳥人としての誇りです!
母も、人間を愛してしまった事を後悔しなかったでしょう!」と迷い無く言ったその顔には、もう涙は浮かんでいなかった。
その陰で、図らずとも立ち聞きしていたこうもり猫は「ううッ、鳥乙女ェェ〜!!」とハンカチ片手ににヨヨヨと男泣きに泣いていた。

そして時は過ぎ日没、鳥人祭の始まる時刻となった。
昼間あれだけ余所者の関与を嫌っていたのが嘘のように、旅行者@サシペレレとマントで羽を隠した鳥乙女は祭の場に
立ち会っていた。
鳥乙女がふと辺りを見ると、岩に点々と鳥人の彫刻がされている。その中に鳥人の娘と人間の男が寄り添う彫刻が・・・。
地道に情報収集をしていたサシペレレは、昔、鳥人の娘と村の若者が恋に落ちた伝説があるらしい、と鳥乙女に教えた。
彫刻にそっと触れる鳥乙女。
「伝説じゃないわ・・。」

そして、遂に鳥人祭が始まった。
すると、洞窟で今まで何もせずじっと待っていたグラシアラボラスは、それっとばかりに竜巻を発生させ、
次々と船を転覆させる。絶壁を昇っていた若者も、あまりの強風に海に落ちてしまう。
良い感じに事が進みご機嫌のグラシアラボラス。更に風を強めようと剣をかざしたその時、タロットカードが剣を弾いた!
振り向くとそこには悪魔くん達が!
実は海中にダイブした後、どこからともなく取り出した長い管の棒を使い、海中で竜巻が去るのを待っていたのだ!
無理がある!
とにかく、この忍者も驚愕の作戦で竜巻をやり過ごした後、魔動カーの探知機でこの場所を探し当てたのだ。
自分が有利の時にはトコトン高飛車になる分不利な状況に弱いのか、グラシアラボラスは脱兎の勢いで逃げ出した。

グラシアラボラスの竜巻を止めたのは良かったが、時は非情に過ぎており、十三匹のコウモリが現れ、モアイの眼に血の涙が
溜まり始めていた。
これを見た島民達は、海にいる若者達を助けようとせず蜘蛛の子のように逃げ去ってしまう。
その時、悪魔くん達が鳥乙女らと合流した。すると、グラシアラボラスが先程泡をくって逃げ出したのが嘘のような
自信満々な態度
岩場の上にポーズを決めて登場し、皆が揃うとは好都合、まとめて始末してくれると言い、
竜巻を放った!
サシペレレが竜巻大回転で対抗するもあっさりと破れ、悪魔くん達は竜巻に巻き込まれてしまう!
絶体絶命のピンチ!
『お母さん・・・あたしに力を貸して・・!』
鳥乙女は思わず母に助けを求めた。
その時、鳥乙女の脳裏に『お前には秘められた力がある。
何かあった時は、お前の母の残したナスカの地上絵を思い出すといい』というアンドレアルの言葉が蘇った。
遥かペルーのナスカ高原の地上絵を、母の残したハチドリの地上絵を必死に思い描く鳥乙女。
鳥乙女の心の中の地上絵が輝き、一瞬母の幻影が・・・。
すると、光で描かれたナスカの地上絵が、鳥乙女を護るように包み込んだ!
驚く悪魔くん達が目を見張る中、鳥乙女の眠っていた力が解放される!

「ピンクハリケーン!」

パワーアップしたピンクハリケーンは、悪魔くん達ごと竜巻を吹き飛ばし、更にグラシアラボラスを一撃で葬り去った!
「やった・・・お母さん・・!」
力を使い果たし、地上に降りた鳥乙女をこうもり猫がしっかり抱きとめる。
今回全く良い所なしのメフィスト二世は驚きを隠せない様子で鳥乙女を賞賛した。

が、どさくさ紛れに倒されたグラシアラボラスの乱入ですっかり忘れていた地獄の使者がとうとう姿を現してしまった!
地獄の使者は、自分の姿を見た者は皆地獄へ連れて行く、と無体な台詞を言い、島中のモアイを集め始めた!
このままでは確実に危ない!
鳥乙女は「光る海燕の卵で地獄の使者の怒りを静めるしか方法はないわ!」と最後の力を振り絞り、オロンゴの遺跡へ
飛び立った!
その間もモアイの群れが押し寄せてくる。悪魔くんはソロモンの笛で地獄の使者に呼びかけ始めた・・。

何とか遺跡に辿り着いた鳥乙女。しかし周囲は何もない岩場。卵どころか巣さえ見当たらない。
『お父さん・・お母さん・・お願い・・!』
すると、鳥乙女の祈りに答えるかのように背後に金色の光が・・。

モアイに完全に囲まれても説得を続ける悪魔くん。しかし、流石のソロモンの笛も今回ばかりは通用せず、情け容赦なく
モアイが一斉に倒れかかってきた!
潰される!・・という寸前、モアイの動きが止まる。
見ると、鳥乙女が地獄の使者の前に跪いていた。かつて父も手にした光る海燕の卵を持って・・。
と、海燕の卵が閃光を発した!すると地獄の使者は無言で消え去り、モアイも元の石像になった。

駆けつけた割にピンチになっただけの悪魔くん達は、これでイースター島の危機は去ったと安堵していた。
鳥乙女が月を見ると、そこに唐突にアンドレアルが浮かび上がり、鳥乙女の誇りを見せてもらった、
自分も鳥乙女が戦うように鳥人悪魔族をルキフェルの手から護る事を約束しよう、と言った。

一方、日本居残り組に緊急事態が発生していた。
豆ユーレイが一斉に高熱を出して倒れてしまったのだ。
ピクシーによると、「悪魔ストレス」が体中に回ってしまい、このままだと命に関わり、これを直すにはタンバランハウスにある
薬が必要だという。

「よーし!僕達で悪魔ストレスを直すんだもん!」と百目が勇ましく立ち上がった!
一難去って又一難。果たしてどうなる事か・・・。

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悪魔くん達がイースター島からいつもの洞窟に戻ってきて最初に目にしたものは、高熱を発し苦しそうに空中を漂う
豆ユーレイ達の姿だった。
ヨナルデはすばやく辞典を開き、原因は疲れからくる悪魔ストレスで、それが体中に回り熱を出している事と
体が赤くなると危険な状態と言う事を調べ上げた。
その言葉に反応するように豆ユーレイ達の体が赤く変化しだした!慌てる悪魔くん達。
それにしても豆ユーレイ達がこんな状態なのに幽子がいないというのはおかしい・・。
鳥乙女とこうもり猫に町中を探してもらうが、幽子達の姿は無かった。
探し回ってクタクタなこうもり猫はヨイショ、と石に腰掛けた。
するとそばに百目が下手な字で書いた書き置きがあるのを発見する。
それによると病気を治す薬の材料を取る為豆ユーレイを看病する者を残さずにブーゲンビル島に行ったらしい。
この非常に分かりにくい場所に置かれた書置きを読んだ悪魔くんは、ヨナルデ達に豆ユーレイの看病を頼み、
メフィスト二世と共にブーゲンビル島へ出発した!

その頃百目、幽子、家獣、ピクシー達は豆ユーレイの治療薬の材料である白ナツメの実を取りにニューギニアのブーゲンビル島に来ていた。
しかしブーゲンビル島には四天王最後の一人・アインも霊魂集めにやって来ていたのだった。
アインは手始めに地下に封印されていた三頭獣を召喚した。
その名の通り、人間、魚、獣を三段重ねにして圧縮したような姿の三頭獣に、アインは霊界の入り口であるカエタの霊界の扉を
開いて欲しいと頼む。
そして渋る三頭獣にすかさず、事の成就の暁には南太平洋の王になるよう力を貸す、と文字通り悪魔の誘惑をする。
長年の夢の前に迷いが霧消した三頭獣は、即決で協力を約束した。
「のってくれるか!さすがは三頭獣だ!」言い逃れ出来ないほど見事な褒め殺しをするアイン。
そんな嫌な大人の世界を覗き見る悪魔がいた。全身毛むくじゃらで額に二本の角の生やしたその悪魔は
「やっと静かな島に逃げ隠れられたと思ったのに・・・。しかし何でアインの奴がこの島へ・・。」と苦々しく呟きながら森の中に
身を潜めた。

一方百目達は藁葺き屋根の細長い三角形の家の前にやって来た。この建物がタンバランハウスらしい。
早速中に入り、手分けをして探索開始。
ピクシー達が「しろいナッツメ〜」と真剣さを感じさせない声で探している中、探索能力バツグンの百目は室内に設置されて
いるトーテム像の下にある壷の中に白ナツメが入っているのを発見する。
これで豆ユーレイ達が助かる!と喜んだその時、
「何者じゃ!」
振り返ると長老らしい人物と武装した男達が集まっていた。
「な、何じゃおまえらは?!」
どう見ても人間外生物の百目と家獣達を見て驚愕する長老。
幽子は自分達は薬にする白ナツメを分けて貰いに来ただけだ、と手にした白ナツメを長老に見せた。
実はその白ナツメは村の先祖の霊を祭ったキンブーヤンの印だったのだ。
知らなかったとは言え無断で大切な印を持ち出そうとした百目達に長老の怒りは爆発!
白ナツメを取り上げ、ここは祭りの時意外は立ち入り禁止の神聖な場所だ、出て行け!と一喝し、全員外に放り出した。

その時、辺りに妙に明るいリズムの太鼓の音が響いた。
途端に動揺し出す男達。長老はこれはジャングルに封印されていた三頭獣が蘇り、カエタの霊界の入り口を開ける為
腹鼓を打っている音だと言い、その三頭獣を蘇らせたのは百目達だと決め付けた。
百目は激しく否定するが、窃盗の現行犯の言い分は当然無視される。
カエタの霊界の入り口を開けた時、火山は爆発し島ごと地獄へ落ちるという伝説があると話した丁度その時、
島の火山が噴火を始めた。
このままでは伝説通りになってしまうと怯える長老。
百目は自分が三頭獣をやっつけると豪語し、三頭獣を倒す事が出来たら白ナツメの実を分けて欲しいとすかさず提案した。
「言ったな!」と子供のケンカのように長老はこの条件を飲むが、そこは年の功。
逃げ出さないよう一番弱そうな幽子を人質に取った。
「あたしの事は心配しないで!百目ちゃんこそ気をつけて!」と気丈にも安否を気遣う幽子。
百目はピクシーと共に三頭獣の腹鼓を止める為勇ましく出発した!
「家獣!幽子ちゃんを頼むもん!」
無理無理無理!家獣抜きでは絶対無理!

巨大なドクロ型をしているカエタの霊界の入り口前では、三頭獣が己の欲望の為嬉々として腹鼓を打っていた。
その側のアインもブーゲンビル島の霊魂ばかりでなく、ムー大陸の魂も頂こうと欲の皮のつっぱった事を考え一人薄笑いを
浮かべていたが、右肩の猫が百目が来る事を知らせた。
計画を邪魔するものは許さん!と乗っていた大蛇を百目の元に送り込んだ!流石にアインの乗り物だけあり、
抵抗する百目をものともせず巻きつき締め上げる!
ピクシーが救援に向かうが、全く歯が立たない。三頭獣に辿り着く前に大ピンチを迎えた百目!
締め付けはどんどん強くなっていく!

そこへ先程の悪魔が現れ、負傷しながらも蛇を倒し、百目を救った。
「おじちゃん、助けてくれてありがとうだもん!」
百目は突如現れたどこからどう見ても悪魔な容貌の相手を「おじちゃん」と親しげに呼び、警戒心ゼロで駆け寄り、
ピクシーにキズの手当てをさせた。
「おまえ達、わしが怖くないのか?わしは悪魔界から追い出された手配中の悪魔、アゼザルだぞ?」と言われた百目、
「でも、おじちゃんは優しいもん!」と無邪気に答える。
「デヘヘヘヘ。」
優しいと言われたアゼザルは、むき出しの歯を更にむき出し照れ笑いをした。

事情を聞いたアゼザルは、三頭獣には三頭獣を騙して利用しているアインが側についているので勝ち目は無い、
行くのは止めておけ、と進言する。
薬の材料集めのはずが、四天王と対決する事になってしまった百目達。
しかし、「でも僕達頑張るんだもん!」と先程蛇に縊られそうになった事にもめげず、アゼザルに別れを告げ三頭獣の元へ
向かった。
アゼザルはその勇気ある姿に感心すると共に、こそこそ逃げ隠れする今の自分を恥じるのだった。

一方、ブーゲンビル島に到着し、槍で武装した男衆に囲まれても全く動ぜず長老から話を聞いた悪魔くんは、自分達が
必ず三頭獣を倒す、その為には家獣と幽子の力が必要なのだ、と長老を説得。
さすがの長老も説得上手の悪魔くんの言葉に動かされ、幽子と家獣を釈放した。

一方百目達は三頭獣の元にやって来た。アインの姿の無い今がチャンス、と三頭獣へ突撃!
しかし、それはアインの罠だったのだ!
「待っておったぞ小僧!」
アインは手にした松明から火球を発射し、百目達を炎の球体の中に閉じ込めた!
「熱いもーーん!」
先程の威勢も蒸発してしまったのか泣きべそで助けを求める百目。
影で見ていたアゼザルは飛び出そうとするが、あと一歩が踏み出せない。手当てされた腕を見ながら戸惑っているその時、
悪魔くん達が駆けつけた!
「来たな悪魔くん、喰らえ!」
と悪魔くんの出現を予期していたアインは火球を家獣に放つ!
巨大化した家獣を防波堤にしつつ、悪魔くんはメフィスト二世に百目の救出を頼む。
「任せとけって!」と幽子の照魔鏡でアインの肩の猫の目からビームを反射してもらいつつ魔力 冷凍波で百目を助け出した!
そしてそのままアインと魔力 イナズマ電撃で交戦!

メフィスト二世がアインと戦っている間に悪魔くんは三頭獣の腹鼓を止めようと走り出した。
「そうはさせんぞ!」
死角を見せないアインが火球で悪魔くんを狙う!だがメフィスト二世のハットノコギリがアインの松明を真っ二つにした!
「やったな!」武器を破壊され、怒りの猫目ビームでメフィスト二世を攻撃!
そして、「喰らえ溶解液!」
今度は左肩の蛇から岩をも瞬時に溶かす溶解液で悪魔くんを狙った!
辛うじてかわす悪魔くん。そこにアインが再び猫目ビーム発射!
しかし走り寄ってきた幽子が照魔鏡で弾き返す!
「悪魔くん、早く三頭獣を!」
衝撃で吹き飛ばされながらも必死に叫ぶ幽子の声に後押しされ、ようやく三頭獣の元に辿り着いた悪魔くん。
「止めるんだ三頭獣!」
「邪魔するな小僧!わしは南太平洋の王になるんだ!」
もう頭の中が南太平洋の王でいっぱいの三頭獣は聞く耳を持たない。
「お前は騙されているんだ!アインは自分の欲を満たすことしか考えていない!」
確かに悪魔くんの言うとおりアインは「必ず王にする」とは一言も言っていないのだが、アインの詐欺師まがいの話術
しっかりと騙されている三頭獣は「ふん!」と腹鼓を止めようとしない。
そうしている間に霊魂が現れ始めてしまった。
悪魔くんは最後の手段でソロモンの笛で説得を始めた・・。

一方吹き飛ばされぐったりしている幽子に駆け寄る百目とピクシー。
弱者を逃す訳が無いアインは幽子達に狙いを定めた!百目達に逃げ場は無い!
「アイン、許さんー!」
遂にアゼザルが飛び出して来た!
「臆病で魔術もロクな使えずサタン王国から追い出されたお前が、ワシと戦おうと言うのか?」と一笑に付すアイン。
「やかましい!」と果敢に飛び掛るアゼザルだが、アインの言葉通り実力の差は歴然としていた。
しかしアインが溶解液を発射したその瞬間、アゼザルは捨て身で飛び掛り、猫と蛇を掴み渾身の力でその顔をアインへ
ねじ向けた!
直撃を受けアインは絶叫する!
アゼザルは自らも溶解液をかぶりながら、それでも手を離そうとはしなかった。

「貴様の・・ろくでもない貴様のどこにそんな力があったのだ・・・。」
アインは信じられない表情のまま、ドロドロに解けて消えた。
そしてアゼザルも又、全身紫になりがくりと膝をつく。
「アゼザルのおじちゃーーん!」走りよってきた百目に苦しげな笑顔を見せるアゼザル。
「わ・・ワシはアインを倒したぞ・・!
その勇気を与えてくれたのはお前達だ・・ありがとう・・。」
そしてアゼザルも消えてしまう。ピクシーが施した包帯を残して・・。
「アゼザルのおじちゃん!嫌だもーん!おじちゃーーん!!」

そして三頭獣はソロモンの笛の音によりようやく目が覚め腹鼓を止めた。
土下座し謝罪する三頭獣に悪魔くんはもう二度と悪さをしないよう諭し、再び地底に眠らせる。
止めを刺す気満々だったメフィスト二世は
「もー、悪魔くんったらいっつも甘いんだから・・・。」と少々ご機嫌斜め。
悪魔くんはもう悪さはしないさ、と弁護する悪魔くん。今回も過保護でありました。

そして、「アゼザルのおじちゃん、せっかく仲良しになれたのにーー・・。」と泣きじゃくる百目に、
アゼザルは命を賭けて自分達を救ってくれたのだから今日の事をいつまでも忘れずにいよう、と慰めた。
何とか霊魂を目覚めさせる事を阻止できたが、悪魔界も混乱の嵐が吹き荒れているに違いないと憂う悪魔くんだった。

約束どおり分けて貰った白ナツメを手に日本に戻った悪魔くん達。
さっそくエキスを豆ユーレイを飲ませると、みるみる体の色が不健康な青色になった。薬が効いたのだ!
「豆ユーレイちゃんの病気、治ったのね!」と涙ぐむ幽子。
「小さな力も心を合わせれば大きな力となる。百目達も成長の段階を一段上ったのである。」とヨナルデが上手くまとめる中、
重態だったのが嘘のように一斉に歌いだす豆ユーレイ達。
様々な事があったが、ひとまず事件は終着したのだった。

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妖虎、ユルグ、象人達は東嶽大帝がかつて治めていた中国の東岳付近にいた。
しかし、確かに東岳に着いているはずなのに同じ所をぐるぐる回っているように感じる三人。
どうもおかしいと思いはじめたその時、シンバルの音が聞こえてくると突如山が消え代わりに大津波が現れた。
同時に地面が水になり、妖虎らは水中に放り出されてしまう!
何が起こったのか分からぬまま沈む妖虎の目に、小さな島が浮かんでいるのが見えていた・・。

悪魔くん達は、妖虎たちを探す為家獣に乗って海を渡っていた。
家獣内でルキフェルや東嶽大帝達が何か仕掛けてくるのではないかと話していたまさにその時、無数の悪霊が現れた!
「皆!しっかり!」
「やっぱり来やがったな!ルキフェルの手下か、それとも東嶽大帝か!」
飛び回る悪霊に鳥乙女とメフィスト二世以外の使徒が大パニックになっている間、悪魔くんはじっと冷静に観察し、
これが幻で大気を自由に操る仙術だと見破った。

「仙術って何だもんメフィスト二世?」と半べそで鳥乙女の太腿にしがみついている百目が尋ねた。
「仙人が使う魔法見てーなもんだ。」
「仙人って何だもん?」
「えっと・・スゲー力を持った、不死身のじーさん共のことだよ。」
根掘り葉掘り聞く百目にアバウトだが的確な説明をするメフィスト二世。
すると
「良くぞ見破った!さすが噂通りの悪魔くん!」という声と共に亡霊達が一つに集まり、
インドの修行者風の姿をした巨大な仙人の姿となった。
「おお!確かに蓬莱島八仙人の一人、張果老(ちょうかろう)老人である。」ヨナルデがすかさずナビゲーション。

張果老は悪魔くん達が現れたおかげで迷惑をこうむっている、東嶽大帝に適うはずがないのだから今すぐ愚かな戦いを止めろと言った。
この発言に熱くならないはずがないメフィスト二世、早くも沸点に達し「そのデカイ口をふさいでやる!」と
家獣の中で魔力 絶対零度を放ち、張果老を氷漬けにした。
しかし張果老には全く通用せず、氷を炸裂させ逆に悪魔くん達を攻撃!悪魔くん達は全員吹き飛ばされてしまった!
ヨレヨレになった悪魔くん達をそれ見たことか、とあざ笑う張果老。
「お前たちでは東嶽大帝どころかルキフェルの鼻毛一本抜く事も出来んわい。」
失礼千万な台詞にもめげず、戦いを止める訳にはいかないと氷まみれで言う悪魔くん。
では妖虎たちがどうなってもいいのだな、と不吉な台詞を言う張果老。
どういう事だと詰め寄る悪魔くん達の問いには答えず
ふはははははーはー!と悪霊と呼ぶ方がふさわしい高笑いを残し、空の向こうへ飛んでいってしまった。
「一体妖虎たちをどうしたっていうんだ!待ちやがれこのクソジジー!」
仙人に対して言いたい放題のメフィスト二世。
悪魔くんはこの奇襲で一番ピンチだった家獣に張果老の後を追うよう言った。

追跡中にヨナルデは八仙人についてレクチャーをはじめた。
中国には仙術を使う八人の仙人達が住む蓬莱島という島があり、その蓬莱島は日本の黄泉の石柱やイースター島といった
世界のヘソと呼ばれる場所が一つに集まる、世界のヘソの中のヘソなのだ。
講義を聞いている間に問題の蓬莱島付近にやって来た。

蓬莱島は分厚い雲に覆われており、家獣はその中へ一気に突入した!
中は激しい雷と嵐が吹き荒れており、家獣はさながら木の葉のようにくるくると翻弄されていた。
当然中は洗濯機状態の上下左右お構いなしの大回転!
「気持ち悪いっ、バケツ・・」
「しんぼうしなさいよ、あんたも悪魔のはしくれでしょ。」
鳥乙女の膝の上でおえぇとなっているこうもり猫。天国と地獄の両方を味わっています。

家獣は何とか飛び続け、ようやく雲が無くなり蓬莱島へ辿り着く事ができた。
力尽きた家獣は地面に墜落。
「ごくろうさん。家獣、君は休んでてくれ。」
徹底的にシェイクされ洗濯物気分を満喫した中の面々は外に出てきた。

そこは暖かい日差しが差し込み、小鳥が歌い、美しい花が咲き、枝には果実がたわわに実る、
まさに桃源郷と呼ぶに相応しい場所だった。
この別天地に思わず見とれ、しばし休息を取る悪魔くん達。
すると食べ放題の桃を拝借しながらあたりを探索していたこうもり猫が
色指定を間違えたように全身青みがかって倒れている妖虎たちを発見した。
何度呼んでも全く目覚めない三人。ピクシーの診断によると魂を抜かれてしまっているらしい。

その時、突然島が激しく揺れだした!
思わず鳥乙女に抱きつくこうもり猫。しかしその揺れはすぐに収まった。
百目には何も言わなかったがこうもり猫には容赦なく冷たい視線を投げかける鳥乙女。
「た、ただの地震でやんすね・・」身の危険を察知したこうもり猫は、照れ笑いして大量発汗しつつ身を離した。

そこに雲に乗った八仙人達が空から降りてきた。
八仙人は、悪魔くん達が現れたせいで東嶽大帝が世界を荒らし、その結果世界のバランスが崩れ
この蓬莱島にも異変が起こってしまったと言った。
そして池の中にある巨大な石柱を見せ、これは世界の天地を繋ぐ摩天楼と言い、世界のバランスの乱れがこの摩天楼にも
影響を及ぼし先程のような地震を発生させているのだ、と説明した。

妖虎達の魂を返してくれ、という悪魔くんの言葉に韓湘子(かんしょうし)中年は妖虎たちが描かれた水墨画を見せた。
「上手な絵だもん。」
あくまでマイペースの百目がのほほんと言う。
「感心してる場合か、百目!俺達が言っているのは絵じゃなくて妖虎達の魂の事だ!」
忘れずに百目に突っ込んだ後、八仙人に抗議するメフィスト二世。
しかし八仙人は本当に仙人なのか疑わしいような意地の悪い笑い声を上げるだけ。
ヨナルデが慌てた声で、これは八仙人の使う魂を絵に封じ込める仙術だと説明した。

八仙人達は悪魔くんが大人しくするというのなら妖虎達の魂を返そうといった。
この黒悪魔のような要求に、悪魔くんはルキフェルがサタン王国を復活させようとしているのだ、と訴えるが
八仙人はルキフェルがサタン王国再興を狙っている事も、そのルキフェルを操っているのが東嶽大帝だと言うことも知っていると話した。
ルキフェルが東嶽大帝の部下だった事を知らなかった悪魔くん達はやはりそうだったのか!と
今更ながらに驚いた。
それを見た八仙人達はそんな事も知らなかったのかと呆れたように言った。
「子供の遊びは早く止めて欲しいわい。」
「遊びじゃありません!」
流石の悪魔くんも声を荒げ、何故自分達の邪魔をするのかと抗議した。
しかし、その抗議に対し、東嶽大帝にどう戦うつもりなのか、適わないと分かっていて戦いを仕掛けるという事は
いたずらに事を大きくするだけで言い迷惑だ、と保守意識全開の後ろ向きな発言で逆襲する八仙人。
「身の程知らずもはなはだしいわい。」と言いたい放題言われ、十二使徒は不愉快度最高。
もはや穏便策を取る気が失せてしまう。
「悪魔くん、これ以上話しても無駄だ!」
「妖虎達の魂を取り返すんだもん!」
そして、鳥乙女とメフィスト二世が飛び出した!
メフィスト二世は魔力 大ドロボーで姿を消し、韓湘子の手から水墨画を奪い去った!
「やった!」
珍しく強奪行為を喜ぶ悪魔くん。先程からの侮蔑の言葉に相当腹を据えかねていた様です。

だが、「大ドロボウ、メフィスト二世ここにあり!」と調子に乗っているメフィスト二世に
「聞き分けのない悪い子達ね」と何仙姑(かせんこ)の一撃!
絵は韓湘子の手に・・と思いきや、鳥乙女のピンクハリケーンで再び空へ!
それを追う百目と幽子、サシペレレ・・しかし雲張果老がサシペレレと百目、最後に幽子を放り出し、そのまま絵をゲット!
空高く放り出された幽子を助けるよう鳥乙女に言われたこうもり猫、
「あっしに任せておくんなまし!」と言い、つまずいた倒れた拍子にお腹でバッチリキャッチ。

こうもり猫が予想外のダメージを受けている間に張果老は余裕で再び雲に戻っていった。
「どうしても抵抗を続けるのなら腕ずく、いや筆ずくで言う事を聞かせるしかあるまい。」
韓湘子はそう言って水墨画に十二使徒の絵を描き始め、魂を奪いだした。
家獣、幽子、サシペレレ、・・・次々と魂を取られていく十二使徒。

鳥乙女がピンクハリケーンで攻撃しようと飛び出すが、その前に韓湘子の絵が完成、鳥乙女は落下してしまう。
間一髪で今度はしっかり両手でキャッチしたこうもり猫もその直後地面に倒れてしまう。
最後に悪魔くんを庇おうと前に出たメフィスト二世が魂を抜かれ、遂に十二使徒全員が魂を奪われてしまった。

倒れる使徒たちをなす術もなく見つめる悪魔くん。
そこに何仙姑が優しく問いかけた。
「悪魔くん、貴方も何も好き好んで辛い思いをするよりも普通の子でいるほうが、ずっと・・・幸せなんじゃないかしら。」
しかし悪魔くんは
「僕達が今戦いをやめたら東嶽大帝によって世界中が不幸にされてしまうんだ!
でも、僕達が努力すれば、必ず皆が本当に幸せになれる世界が築けるはずです。それが・・・僕の夢なんです・・!」
目に涙を溜め訴えた。
しかし漢鐘離は冷たく言う。
「所詮、一人では何もできまいて。」

「僕は一人じゃない!」

悪魔くんは叫び、ソロモンの笛を高く掲げた。ソロモンの笛の十二の玉が十二使徒の心が宿るように光っている。
『そうだ・・・どんなに強力な仙術に囚われていても、僕達は心と心で繋がっているんだよね・・』
そしてソロモンの笛を吹き始めた。
『集え・・・十二使徒よ・・!』
韓湘子は悪魔くんも封印しようと絵を描くが、ソロモンの笛の音に手を掴まれている様に筆が動かず目を書くことができない。
そして力負けしたように筆先が破裂し、墨汁だらけの顔の韓湘子の目前で絵がすっと消えていった。
同時に術が解け、起き上がる十二使徒達。
「仙術を破ったんだ・・さすがだぜ、悪魔くん!」

その様子をじっと見守っていた漢鐘離は一言、
「見事じゃ!」
その時強烈な地響きが起こり、摩天楼がせり上がってきた!
世界の異変の影響で遂に摩天楼が崩れ去ろうとしているのだ。
もしそうなれば世界中の地下に眠る霊魂たちが彷徨い出て地上は大混乱になってしまう!
もうこうなっては自分達の手におえない、この危機を救えるのは悪魔くんしかいない、と
お手上げ宣言をした上無理難題を押し付けてきた八仙人。
十二使徒達は思わず悪魔くんを見る。
悪魔くんは静かに言った。「皆、六芒星の位置につくんだ。」
「六芒星・・・そうか!ようし!」と使徒達は適当に場所を選んで六芒星の位置につき悪魔くんはソロモンの笛を吹き始めると、
六芒星が浮かび、輝き始めた!

「これは・・今を遡る事3000年前、偉大なるソロモン王がソロモンの笛と共に永久の平和を願って後世に残した最大の秘術!
その形は全宇宙の神秘を現し、完全なる六芒星を描かれた時、その力を無限にまで高める事が出来るという・・!」
驚いている割に詳しく説明する漢鐘離。

『ソロモンの笛よ・・届け、世界に!』
そして六芒星が一際大きく輝きを発すると、摩天楼は激しい水柱を上げながら再び水中へ沈み始めた!

力を使い果たした悪魔くんはそのまま倒れてしまうが、十二使徒達の声に意識を取り戻して起き上がった。
すると、濡れネズミの八仙人が、
「私達が間違っていたわ。」
「六芒星の力、しかと見せて貰ったぞ!」
「我々の予想以上の力を持っておった!」と掌を返したような賞賛の言葉を口々に発した。
この突然の友好的態度にきょとんとする悪魔くん。
「変な爺さん達だなあ、さっきまで俺達を散々馬鹿にしてたのに。俺みたい!
自分の事をよく分かっているこうもり猫がそう言うと、漢鐘離は自分達は悪魔くんの実力を測る為にわざとこのような事を
したのだと弁明した。
そして自分達の予想を遥かに超えた力を秘めた悪魔くん達に世界の命運を託したのだった。

悪魔くんはあれだけネチネチ馬鹿にされ続けた事もすっかり水に流して、
一日も早く究極の六芒星を完成させ夢の実現を果たす事を誓いながら役者揃いの八仙人達に別れを告げ、
蓬莱島を後にしたのだった。

一方、日本にルキフェルが密か現れていた。一体何をしようと言うのだろうか・・・。

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救世主とは言え人間社会では小学生の悪魔くん、学校生活を疎かにしないように・・・とは思いつつもこの所忙しかったせいで宿題は見事に純白。
先生に今まで何をしていたのか、と詰問されても正直に世界を救う為戦ってましたと言えるはずもなく
適当に誤魔化そうとするが、一緒に怒られていた百目が外国行っていた、と言わなくても言い事を報告、
更に「ブーゲンビル島でしょ、蓬莱島でしょ・・・悪魔くんはイースター島にも行ったんだもん!」とダメ押し。
夏休みに田舎に帰っただけの地味な休暇を過ごした先生は「羨ましいから二人とも廊下に、立ってなさい!!」
と微妙に公私混同の混じった台詞で廊下行きを宣告。
嫉妬と羨望のせいで蓬莱島が伝説上の島だと言う事を失念しています。
「ほら見ろ、余計な事言うから!」百目を叱りながらトボトボと廊下に向かう悪魔くん。
救世主と小学生の両立はなかなか難しいようです。

一方、メフィスト二世は雲の上で「せっかく親父に死神屋のラーメン奢ってやろうと思ったのに魔界谷温泉に湯治に
出かけてちまってんだからなー。」と全然残念そうじゃない口調で満面の笑みをたたえながら土産のラーメンを平らげていた。

「だぁー、食った食った。」食欲が満たされご満悦のメフィスト二世。
と、その時地上から魔気が発せられているのを感じその場所、山奥の廃坑へと足を運んだ。
蜘蛛の巣だらけの廃坑を進んでいると、突然足元が崩れ、思わず
飛ぶ事も忘れ一気に落下!その下に配置された
巨大な蜘蛛の巣に捕らえられてしまった。
思い切り体を粘つかせているメフィスト二世の耳に
ぐぇははははと品の無い笑い声が聞こえた。
目を上げると洞窟の横穴にルキフェルとヒゲで顔半分が隠れている小柄な老人が立っていた。
「思ったとおり魔気に誘われて十二使徒の一人が罠にかかったわ。やれ!クモ仙人!」
先程の魔気は人気の無い山奥で事件も起こさずひたすら十二使徒がやって来るのを待つという
四天王を越える
気の長い策略の一部だったのだ!
側にいたクモ仙人は、先端が蜘蛛の形をした杖をメフィスト二世に向け、蜘蛛の糸を発射!
糸はメフィスト二世を包み込み、見る間に繭に閉じ込めてしまった。
「これで良い。あと3時間もすればメフィスト二世は蜘蛛に変身してしまうわい。」
と恐怖の宣告をするクモ仙人にルキフェルは、次にソロモンの笛を奪うよう命令した。
「5000年ぶりに岩穴から出してくれて仙人の姿に戻れたんじゃ、それ位の事はお安い御用だわい」
クモ仙人は余裕綽々でソロモンの笛奪取を請け負った。
クモ仙人は蜘蛛から不死の力を得た事により慢心し神々に岩穴に封印されていたのだが、
5000年程度ではクモ仙人の根性をまっすぐにする事は出来なかったようである。

メフィスト二世がピンチを迎えていたその頃、人間社会では下校時刻になっていた。
悪魔くんは百目、貧太と共に帰宅していたが、貧太にタロットカードを教えてくれと頼まれる。
「構わないけど・・十二使徒達が・・。」
友情より救世主としての勤めを優先しようとする悪魔くん、そこに百目が自分が十二使徒の世話をする、と助け舟を出す。
「悪魔くんもたまには貧太君とのーんびりしたらいいもん!」と、珍しく気を回す百目。
本当に珍しい。
悪魔くんは後ろ髪引かれながらも貧太に手を引かれ、貧太の家に向かった。
それを「バイバーイ!」と笑顔で送り出す百目。これまでの経験で人を気遣うように程成長したのかと思いきや、
実は密かに鳥乙女、こうもり猫、幽子、ピクシー、サシペレレらに人間界を案内する約束をしていたのだった。
妖虎、ユルグ、ヨナルデ、象人、家獣らが世界の為真剣に東嶽大帝の本拠地を探っている間、
「ドキドキするわ!」「怖いことないかしら?」と心弾ませ町にくりだす若者組。
十二使徒の年齢層の違いによる使命感の差をひしひしと感じます。
無論そのままではパニック必至、町に溶け込むよう変装していく事にした。
100%人間に見える幽子と辛うじて人間のサシペレレはそのままの姿、ピクシーはサシペレレの帽子に入り、
鳥乙女は全身をすっぽり隠すコート着用、コウモリ猫は耳を帽子で隠し、更にチャイナカラーの上着と先の尖った靴という
ニセアジア系ファッション、と各人入念に変装をした結果、見事に町並から浮きまくる怪しい一団と化していた。
ともあれ百目を先頭に町を闊歩するお登りさん達は、電気屋や埋れ木父行きつけのパチンコ店を眺めたり、
主婦を悪魔と思い込んだこうもり猫がヨイショしたりと騒動寸前になりつつも人間界を満喫していた。

そうしている間に3時間が経過し、メフィスト二世はようやく繭の外に出ることができた。
五体満足という訳ではなかったが・・。
ルキフェルもクモ仙人もいない事を確かめ、ノソノソと外に出たメフィスト二世、ふと水溜りにシルクハットをかぶった巨大な蜘蛛の姿が映っているのを目する。
「おっ!現れやがったな!」
しかし、それは自分!クモ仙人の言葉通り、巨大な蜘蛛になってしまったのだ!
ここに来るまでの8本足歩行に疑問が生じなかったのか謎だが、クモ二世は悪魔くんに何とかしてもらおうと
驚異的な短時間で山奥から悪魔くんの家まで辿り着き、庭からこっそりと悪魔くんの家に上がろうとしたが
縁側を雑巾がけしていた埋れ木母に見つかってしまう。
「キャー!バケ蜘蛛!!」驚きのあまりお尻にバケツをはめ、執筆中の埋れ木父に助けを求める埋れ木母。
何事かと顔を覗かせるとそこには巨大な蜘蛛!「な、何だこれは!」と逆毛立ててビビる埋れ木父。
そこに騒ぎを聞きつけエツ子が顔を出した。
「どうしたのお母さん・・・あら、どっかから取ってきたのかしら。メフィスト二世さんのシルクハットかぶってるわ。
よーし・・。その帽子を返しなさい!」
魂も吹き飛ばんばかりにおびえまくる両親を尻目に眉一つ動かさずほうきを取り出しクモ二世を攻撃!エツ子最強です。
「(俺がそのメフィスト二世だよ!)」
「何ぴーぴー鳴いてるのよ!」
規格外の巨大蜘蛛相手にホウキを振り回すエツ子。その勇猛な戦いぶりに我を取り戻した埋れ木母は、
「捕まえて動物園に売ればローンがいっぺんに払えるかもしれないわよ!」
「な、なにィー!!」
金の力で埋れ木父も復活!かくして埋れ木家の女傑・エツ子を先頭にバケ蜘蛛捕獲隊が結成された!
この騒ぎは警官から通りがかりの人間を巻き込んだ大騒動となってしまう。
げに恐ろしきは人間の欲というべきか、誰一人恐怖することなくクモ二世捕獲に血眼になる。
魔力の使えないクモ二世は民家に逃げ込み犬やらやらに怯え倒しながらひたすら逃げ惑っていた。
そしてクモ二世は百目達のいる商店街に乱入!その姿を百目達が目撃する。
「あれは何だもん?」
逃げる二世!追う人間!普段では決してありえない逃亡劇にも終着の時が来た。
クモ二世がビルの行き止まりの一角に入り込んだのだ。
警官が銃を抜き鼻息も荒くクモ二世に詰め寄る。

「俺達悪魔の仲間かな?」
「だとしたら放っておけないわ。」いつの間にかビルの上にきた鳥乙女達も事の成り行きを見守っていた。

引き金にゆっくり力を込める警官。クモ二世危うし!
その時、
「もーーん!」
百目フラッシュ炸裂!あまりの眩しさに目を閉じる群集。
そして目を開けると・・クモ二世がいない!
「消えた・・」「ミ、ミステリーだ!」思わずぞぞーっとなる一同。
実際には鳥乙女とこうもり猫に抱えられて空中に逃れていたのだ。
蜘蛛消失ミステリーの立役者のこうもり猫が一言、「これが本当のくも隠れ、なんてね!」

連携プレーで九死に一生を得たクモ二世は、百目達にいつもの洞窟に連れて行かれた。
貧太にタロット占いを教えている最中にでた結果で異変を察知した悪魔くんも友人をほったらかして洞窟に駆けつけていた。
そして鳥乙女達が勝手に町に出かけたことは不問のようで、全員でクモ二世を眺め何故メフィスト二世のシルクハットを
かぶっているのか不思議がっていた。
流石のヨナルデも蜘蛛の言葉は分からないらしく、メフィスト二世の訴えも全く届かない。
「きっと拾ったんでやんすよ!まったくメフィスト二世は
どじだからねぇ。
風に吹かれたのを追いかけようとしても足は短いし、ノロマだし、方向音痴ときてるんだからね〜。」
と当人の前で死刑執行書に署名するような事を喋るこうもり猫。

とにかくメフィスト二世を呼び出して事情を聞いてみようと悪魔くんは魔法陣でメフィスト二世を呼び出そうとした。
・・が当然当人がいるので煙しか現れない。
驚く悪魔くん達。その時笑い声と共にクモ仙人が現れた!
廃坑で誰もいなかったのは、クモ二世を泳がせて十二使徒の居場所を突き止める為だったのだ。
クモ仙人は十二使徒をメフィスト二世のように蜘蛛にされたくなければソロモンの笛を渡すよう要求。
そう言われてやっとクモ二世の正体に気付いた悪魔くんはピクシーに解毒薬を作るよう言うが、クモ仙人は自分を倒さない限り元の姿に戻す事はできないと笑った。
その言葉が終わらないうちに家獣の不意打ちヒッププレス炸裂!
クモ仙人はスルメのようにペラペラになるが不死身と言うのは嘘ではなく、ギャグ漫画よろしく体を膨ませてに元の姿に戻り、今度はこちらの番と十二使徒達を次々に繭に閉じ込めてしまう。
「さあ、十二使徒達を助けたければソロモンの笛を渡せ!」
迫るクモ仙人。
ピクシーの薬で声だけ元に戻ったクモ二世は「ソロモンの笛は皆の為に必要なんだ!」と渡さないよう言うが、
「分かってるよ・・分かってるけど・・・。
十二使徒は、僕にとってかけがえのない仲間なんだ・・。」
どうしても仲間を見捨てる事ができない悪魔くんは苦悶の表情でソロモンの笛をクモ仙人に渡そうする。
だがクモ仙人の手に渡ろうとするその瞬間、
「ダメだー!」
クモ二世が悪魔くんの手を取り魔法陣の中へ消えた!

そして魔界に逃げこんだ二人は湯治中のメフィスト老に助けを求めた。
「おやじー!」
「何じゃ、わしは蜘蛛の子供ををもった覚えはないからして。」
緊迫感の無い台詞を言うメフィスト老だが、メフィスト家に代々伝わるシルクハットを見て息子と認め、何をしているのだと呆れた声をあげた。悪魔くんはクモ仙人に追われている事を話した。
よりによってやっかいな相手を敵にしていると言いながら温泉マーク付き浴衣を着たメフィスト老は、丁度現れたクモ仙人を
魔力 絶対零度で凍らせた。
しかし不死身のクモ仙人にはやはり通用しなかった。
こうなれば地上に出るしかないと言い、サービスシーンは終わりとばかりにシルクハットからマントを取り出し
一瞬で着替えを完了させたメフィスト老は、悪魔くん、クモ二世と共に再びいつもの洞窟内に戻ってきた。
そして魔力 物質変化で岩を「絶対に解けないロープ」に変え、自らのステッキに結びつけた。
そしてメフィスト老達を追いかけ洞窟内に現れたクモ仙人を魔力で縛り、宇宙の無限空間まで飛んで行け!と
ステッキごと地球追放させる事に成功した!

しかしクモ仙人は最後のあがきで悪魔くんのソロモンの笛を奪ってしまう!
メフィスト老が奪い返そうとするが、それより先にこの時をねちっこく待っていたルキフェルがソロモンの笛を奪い、
そのままテキパキと次元の穴に消えてしまった。

そうしている間にクモ仙人は魔力が届かない宇宙の彼方に行ったようで、クモ二世も元の姿に戻り
十二使徒達も繭から抜け出す事が出来た。
「おおー!セガレ!良かった良かった!」と息子に
ほお擦りするメフィスト老に
「よかねえよ!ソロモンの笛がルキフェルに奪われちまったんだぜ!」と厳しいメフィスト二世。

そこに繭から開放された十二使徒達が現れた。メフィスト二世の姿を見て先程の命に関わる失言を挽回しようと
シルクハットをボスボスと叩きながら盛大に帰還を喜ぶこうもり猫。
しかしそんなことで誤魔化されるメフィスト二世ではない。怒りの復讐が幕を開けた!
そしてこうもり猫の生命の危機を笑いながら眺める十二使徒達。
そんな殺伐としながらものどかな雰囲気から外れ、悪魔くんはルキフェルの消えた空を睨み
必ずソロモンの笛を取り戻す事を固く決意していた。
果たして無事にソロモンの笛を取り返すことが出来るのだろうか?



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ソロモンの笛を奪うことに成功したルキフェルは東嶽大帝に目通りしていた。
だが東嶽大帝は喜ぶのはまだ早い、とソロモンの笛を破壊するでもなくルキフェルに所持させたまま、
今度は見えない学校を探し出し破壊せよと命じた。
何の為にソロモンの笛を奪ったのかという疑問が頭に浮かばないのか、休むまもなく見えない学校探しを始めるルキフェル。
しかし自分一人で闇雲に探すような非効率な手段を取る気はなかった。
物探しに最適な悪魔を知っていたのだから・・・。

場所は変わって人間界のとある山中。
悪魔くんに会ってから性根を入れ替え、まじめに修行を再開いているはずのベルゼブブが「あ〜よく寝た。」と
修行とはかけ離れたのどかな声を出していた。
しかしその爽やかな気分は長続きしなかった。
相変わらず人の力を利用する事にかけては一級品のルキフェルが、占い杖の力で見えない学校の場所を探し出そうと
やってきたのだ。
ベルゼブブもルキフェルの前では蛇に睨まれたカエル、有無を言わさず協力することになった。

一方悪魔くんはソロモンの笛の在り処を探す為、いつもの洞窟でタロット占いをしていた。
結果を見ると、どうも魔界にいるらしい。
もっと詳しい場所を、と悪魔くんがタロットを調べようとしたその瞬間、
鼻にハエが止まった百目が豪快にくしゃみ!感嘆すべき肺活量でタロットを全て吹き飛ばしてしまった!
「何しやがんだ百目のドジ!タコ!ぽんぽこぽん!一部理解不能な雑言で百目を非難するこうもり猫。
それを鳥乙女と悪魔くんがこぞって庇い、とりあえず魔界なのは確かなので手分けして探す事になり、
魔界トンネルを抜けてソロモンの笛探索に出かけたのだった。

こうもり猫と「何しでかすか分からないから」とお目付け役を申し出た鳥乙女の二人は、魔界の六本木と言われる賑やかな通りにやって来た。
水を得た魚のように生き生きとするこうもり猫に「どうせ学校さぼってここで遊んでたんでしょ」と呆れたように言う鳥乙女。
「まーディスコ荒しのこうもり猫といえば、ちっとしたもんなんだぜ?イエーイ、ダンシンッ!決まったゼッ。」と
いきなり頭のネジがゆるんだ
こうもり猫をさらっと流す鳥乙女。
「馬鹿言ってないで、さ、お仕事お仕事!」
しかしそんな事でめげる訳もないこうもり猫、
「そんな固い言わないでさぁ、せっかくきたんだからティーでもドリンクしな〜い?ねえかーのじょ!」
だが当の彼女はこのネジ吹っ飛びナンパ男にはもう付き合ってられないと言わんばかりにさっさと飛び去ってしまう。
「ちょっと待ってよ、鳥乙女!こんなにのんびりできるのはそうないんだぜ〜?」
こうもり猫、頭のネジと共にソロモンの笛の事も吹き飛んだようです。

そして悪魔くん、百目、メフィスト二世の三人組は地道に調査の基本の聞き込みをしていた。
村一番の物知りという老婆に「笛を持った恐ろしい悪魔」の事を尋ねるが、
この老婆は耳の遠さも村一番らしくなかなか話が通じない。
それでもなんとか情報を聞くことができたが、それがチャルメラの「笛を持った」それを食べると必ず腹を壊すという
「恐ろしい」評判を持つ屋台ラーメン屋の「悪魔」だった、とコントのネタのような結果だったりと、ソロモンの笛探しは難航を極めていた。

悪魔くん達が四苦八苦している間、占い杖の導きで魔界にやって来たベルゼブブ達。
しかし見えない学校はなかなか見つからず、ルキフェルは次第に機嫌が悪くなってきた。
それを宥めすかしつつ酒場で休憩をとったベルゼブブは、このままでは時間稼ぎがバレてしまうと悩んでいた。
その時酔客が倒れかかり、ルキフェルはテーブル毎倒れ込んでしまう。その拍子にどこにしまってあったのか謎
ソロモンの笛が転がり落ちた。
あれはソロモンの笛!思わずベルゼブブの目が光る。
獣人の顔に黒狼の体を持つルキフェルのしもべのマルコキアスが失礼な客に唸り声をあげるのを「放っておけ」と
油に火を注ぐような物言いで宥めるルキフェル。しかしここは品性方向な紳士とはほど遠い面々が集まる酒場。
悪魔にも縄張り意識がバリバリあるようでよそ者に舐められてたまるか、と一気に喧嘩上等ムードが膨れ上がる。
しかしそんな中でもさすがにサタン王国の元No.2のルキフェル。デンジャラスムードにも全く動ぜず
マルコキアスに攻撃を命じ、さっさと不埒者達を片付けてしまう。さすがトップ、自分で汚い仕事はしません。

ベルゼブブはその隙にこっそりソロモンの笛を奪い、酒場を抜け出し占い杖で飛び去った。そして町からかなり離れた場所に
降りた後ソロモンの笛をじっと見つめていた。
又よからぬ事を考えているかと思いきや、これで悪魔くんに恩返しが出来るとベルゼブブとは思えない義理人情溢れる事を
考えていたのだ。
しかし、自分の世界にひたっている間にルキフェルに追いつかれてしまう。
ルキフェルはマルコキアスに命令して力づくで取り返し、占い杖さえあればベルゼブブはいらんとばかりに
この裏切り者を始末しようと狙いを定めた。
ベルゼブブ、ピンチ!とその時、
「止めぬか、ルキフェル!」
ルキフェルが声のした方を見ると、つむじ風に守られた空間の裂け目がこちらにやってくる。
そこから現れたのは・・・ファウスト博士!
そしてこの時を待っていた、とルキフェルに挑戦状を叩きつける。
ルキフェルは丁度よい、見えない学校の隠し場所を吐かせてやる、と余裕の態度で挑戦を受けた。
「フルカス バラム アンゴル カム・・・」
ファウスト博士は呪文を唱えだした。
するとルキフェルとファウスト博士の間に魔法陣が現れ、土塊が盛り上がり巨大な手となってルキフェルを握りこんだ!
「おおお!」
馬鹿にしていた割に大仰な叫びをあげるルキフェル。
しかし驚きは一瞬で余裕の笑い声に変わり、一撃の元に岩の手を粉砕した!
衝撃で吹き飛ばされるファウスト博士。
ルキフェルは年寄りの冷や水とはこの事よ、と人の事を言えない事を言い、
更に言わずとも、殺してしまえば見えない学校は永久に居場所が分からなくなるのでそれでも良いのだぞ、と
それなら言っても言わなくても同じ事じゃないのかと言いたくなる台詞で脅した。
そして見えない学校とこのソロモンの笛が無ければ悪魔くんなど恐るるに足りんわ、とこれみよがしにソロモンの笛を見せつつ高笑いをするルキフェル。
しかし、有頂天になりすぎてソロモンの笛が淡く光っている事に気付かなかった・・。

「ソロモンの笛が僕を呼んでる・・・。」
見当がつかない為手当たり次第に探すつもりなのか誰もいなさそうな荒野を探索していた悪魔くんの耳に
ソロモンの笛の音が届いた。
悪魔くんはメフィスト二世に皆を呼んでくるよう頼み、百目と共に笛の音のした方へ走り出した!

ルキフェルは再びファウスト博士に見えない学校の居場所を詰問する。
だがファウスト博士はもとより言う気はない。ならばと杖をかざし、光線を発射した!
「やめろー!」
しかしベルゼブブが自らを盾にしてファウスト博士を守った!
吹っ飛ばされたベルゼブブを忌々しそうに睨んだ後第二撃を放とうとしたその時、
タロットカードがルキフェルの杖を弾き飛ばした!
「ファウスト博士ー!」
間一髪、悪魔くんが到着したのだ!そのまま博士に駆け寄る悪魔くん達。
しかしファウスト博士は自分よりベルゼブブを頼むと言い、初めて後ろで倒れているベルゼブブに気が付き
遅まきながらベルゼブブの側に駆け寄る悪魔くん達。
その間にファウスト博士は再びルキフェルと対峙していた。
加勢に行こうとする悪魔くんを制止したファウスト博士は、ルキフェルとはいずれ決着をつけねばならん運命だったのじゃと言い父の代からの因縁を話し出した。
ファウスト博士の父、初代ファウスト博士は300年前地上支配を企むサタンを呼び出してしまい、その野望を阻止する為
相打ちとなって果ててしまったのだ。
ルキフェルを倒しサタン王国復活の野望を阻止する事が父の遺志でもあり、そして平和な世の中を築くという父の真の願いを
実現できるのは悪魔くんだけなのだ、とファウスト博士は言った。
ルキフェルとしても王であるサタンを倒した初代ファウスト博士の息子を倒す事は、サタンの敵を討てる事。
お互いの因縁は浅からず、一対一の決闘となった。
「手出しは無用ぞ、悪魔くん!」
そう言いファウスト博士は先程全く通用しなかった呪文を再び唱えだした。
ルキフェルは馬鹿にしたように笑い、同じように岩の手を破壊したが、すでに計算済みのファウスト博士は
そのツブテで嵐を発生させルキフェルを吹き飛ばした!その時ソロモンの笛が飛び出す!
めざとくそれを見た百目は電光石火でソロモンの笛をキャッチ、そして振り向きざま悪魔くんにパス!
見事ソロモンの笛奪取に成功した!

思わぬフェイント攻撃でソロモンの笛を奪われたルキフェルは怒り心頭で攻撃をしようと手を掲げた!
が、その体をイナズマ電撃が直撃する!
「ファウスト博士ー!」
メフィスト二世と十二使徒達がナイスタイミングで現れたのだ!

堪忍袋の緒が切れたルキフェルは飛行モードに変形したマルコキアスに乗り、一斉攻撃に出た。
メフィスト二世の火炎もマルコキアスの火力の強さで押し返され、鳥乙女のピンクハリケーンもマルコキアスの翼で
吹き飛ばされる!さっきからマルコキアスしか戦っていないが戦闘担当者が誰であれ、驚異的な力の前に
十二使徒は手も足も出ない、どうすれば・・。
その時、ソロモンの笛が淡く光りだした。
悪魔くんとファウスト博士はすぐに察した。
「皆、六芒星の位置につくんだ!」
「よし、わかった!」と皆
ほとんど直感で六芒星の位置についた。
「ど、どーなってるんだ・・?」
六芒星を知らないベルゼブブには悪魔くんの周りに集まり直立不動する十二使徒
命の危険が迫っているのに突然笛を吹き始めた悪魔くんがいきなり意味不明な行動をしているようにしか見えなかった。
ファウスト博士も「そうじゃ、いままで学んだ事を生かすじゃ。悪魔くんなら必ず出来るはずじゃ!」と更にベルゼブブを
蚊帳の外に放り出す。

『僕達の心よ、届け見えない学校に!』
悪魔くん達と視聴者から置いていかれたベルゼブブがもう駄目だ!と観念したその瞬間、
マルコキアスとルキフェルを巨大な車輪が吹き飛ばした!

「おお、あれは、見えない学校の魔輪!」
ついに見えない学校が異空間から抜け出し、その姿を現したのだ!
マルコキアスを失ったルキフェルはこうなったら貴様らだけでも!とビームを放つが、発動した六芒星の力と見えない学校の
生命玉の力が重なった一撃を全身に受け、絶叫と共に塵となって消えていった。

見えない学校の司令室の映像には魔界城が崩れ落ちていく様子が映っていた。
すっかり記憶の彼方だった天空船も天国へ向かいだし、これでルキフェルのサタン王国再建の野望は完全に打ち砕かれたと喜び合う一同、しかし・・・。

ファウスト博士は自分の役目はもう終わった、とここから去ると言い出したのだ。
そしてこれからは東嶽大帝が直接動き出すに違いない、対抗する為に究極の六芒星を完成させるのだと言った後、
側にいたベルゼブブに真面目に修行していたようなので、もう魔界に戻っても良いと言った。
するとベルゼブブはファウスト博士のお供をさせて欲しいとしおらしく言い、同行する事になった。
せっかく再会できたのに・・・。先程の喜びがしゅん、としぼんでしまう悪魔くん達。
「ん、じゃ行くか。」と妙に軽い口調で旅立とうとしたその時、魔動カーに乗ったメフィスト老が現れ、
「道楽息子が勝手に乗り回すもんでギアの調子が悪いわ。」とさりげなく息子にチクチク言いながらファウスト博士を乗せた。
実は疲れを癒す為、温泉に行くだけだったのだ。
戦いが激化するといっておいて自分は優雅に湯治に行くファウスト博士に温かく疲れを取るよう言う心優しい生徒達。
ファウスト博士は生徒に恵まれております。
飛び去る魔動カーを見送っていた時、急にこうもり猫が叫びだした。
「ああっ!得したな!ベルゼブブの奴!」その時ベルゼブブは魔動カーの後ろで「へへっ、おんせぇ〜ん」としてやったりの
笑みを浮かべていた。侮りがたしベルゼブブ!

世渡りの上手さを見せ付けられ口惜しそうに叫ぶこうもり猫を見て思わず一同大笑い。
見えない学校とファウスト博士も戻り、東嶽大帝との直接対決に向けて一層士気が高まる悪魔くん達だった。


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