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地佑星 賽仁貴  郭盛(かくせい) 

梁山泊の紅白コンビ(薛仁貴ホワイト)

宋江が花栄達と梁山泊に仲間入りする為移動している途中登場した戟の使い手。
その腕前は薛仁貴(唐代の将軍。戟の名手で農民だったがその武勇で高句麗軍を撃退するなど功績を挙げ、将軍職に就く。)になぞらえて「賽仁貴
(〜もどき。〜まさり(=「賽」)+「仁貴」で「賽仁貴」)」と渾名される程。
その薛仁貴は功績を立てる為には目立つ衣装だ!と白服に純白の甲冑に身を包み更に馬も白馬と白で統一して
おり、そのまま白服は薛仁貴のトレードマークともなっている。故に郭盛も全身ホワイトでキめている。
中国では白服は喪服とされているがそれを微塵も意に介さない心頭ぶりはいっそ清々しい。
同類の”呂布マニア”呂方の腕前を聞き一騎打ちしている所を宋江ご一行様が通りかかる、というのが初登場なの
だが、この一連のシーンは郭盛達の紹介というより花栄の神箭っぷりが光り輝き見事にかすんでしまっている。
詳しく記してみると以下の通り。
郭盛は元は水銀の商売人をしていたが、黄河で嵐に遭い全てを失ってしまう。
しかし途方にくれる訳でもなく対影山に方天画戟の使い手の山賊がいると聞きいそいそと手合わせに向かった。
(別に山賊退治をしようと義勇に燃えた訳ではなく、その根城を奪おうというまごうことなき好漢本能に基づく行動
なのであしからず。)
しかし呂方の腕は郭盛と互角で、二人は何十日にも渡って勝負が続いた。
それだけだと単なる熱血バトル物語だが、これは水滸伝。そう爽やかな話にはならない。
ある日いつものように郭盛と呂方が仲良く喧嘩していると、二人の戟についている房と旛が絡まり硬直状態に。
それを離れた場所でこっそり観察していた花栄がすかさず弓で絡まった房と旛を射抜いた。
そんな神技を見せられた上、噂に名高い宋江とその仲間達だと聞き、二人仲良く入塞決定。
その後は何と中軍の騎兵頭領(職務概要:宋江親衛隊)に抜擢される。
戦闘でも二人仲良く出撃し、他の埋没系好漢に比べかなり登場回数が多く、地味に手柄を立てている。
しかしその手柄も呂方と二人セットのものばかりで、その姿はそこそこ人気のあるお笑いコンビがピンになったとたんに
下降線を描くようでなんとも切ない。
騎兵頭領抜擢されたのも、他にも腕の立つ好漢は枡で測るほどいるのになぜこの二人なのかは明らかにされていないが、ひょっとすると全身白の郭盛と、全身赤の呂方が並ぶと見栄えがいいから・・・かも。

幻想水滸伝⇒ チャップマン
見た目はヒネているがニヒルで熱いハート(自称)の武器屋。くわえた小枝がチャームポイント。

地霊星 神医  安道全(あんどうぜん) 

スーパードクターA

もしくは水滸伝のブラックジャック。安道全なら宇宙人も治療できそうです。
代々内科も外科も伝授され、そのその名は遠方まで鳴り響いていた名医で当然カタギ。
病気・怪我を治すのももちろん必要だが、彼の一番の功績は「刺青を消す薬」を作れる事。
このドラえもんの秘密道具のようなものが何故必要なのかというと、当時の罪人は額に罪業、刑罰を彫られる
というのが決まりで、罪人率が異様に高い梁山泊は当然額に刺青完了の人間がうじゃうじゃおり、主人公の
宋江もバッチリタトゥー入り。
無論梁山泊に罪人であった事をウジウジ悩むようなナイーヴな人間は絶無なのだが、密偵に行く時などで
弊害が出てしまう。それを一気に解消してくれたのがこの安道全なのだ。
だが安道全は刺青消しの為連れてこられたのではなく、対呼延灼戦の途中で背中に腫れ物が出来た宋江
の治療の為に連れてこられたのだ。無理矢理。
張順が同じ腫れ物が出来た母親の治療を施したのが安道全だという事を当たった事を思い出し、お迎え役
に抜擢。
途中で船渡しの皮を被った強盗に会ったり地劣星 王定六に助けられたりしながらようやく安道全の元へ
辿り着くも、当の本人は妾に骨抜きにされて行きたがらない。
妾も金づるをむざむざ逃がそうとせず、甘えた声で引き止める。そんな事を張順の前でしてしまったが故、張順に「この阿魔を呑みくだしてしまいたい」という好漢らしい感情を抱かせる事になる。
こうなると張順の取る道は一つ。さようなら妾。
しかもその罪を安道全になすりつけ退路を断つ鬼畜ぶり。怒ろうにも限りなく一般人の安道全が敵うはずも
なく、泣く泣く梁山泊へ向かうのだった。
しかもその道中、先の強盗の処刑シーン(縛り上げてそのまま川へダイブ)を見せられたのだから、抵抗する気
もなくしただろう。
その後はすっぱり割り切ったのか悟りきったのか宋江の出来物をはじめ、敵役なら確実に死んでいる致命傷
から恋の病までガンガン治療していくのだった。
恐らく安道全は三国志の華佗(かだ:実在した(らしい)鍼灸医療の始祖とされる名医。鍼とお灸と数種類の薬で何でも治してしまう。三国志演義では関羽や曹操の治療も行った)にあやかった、いわば水滸伝版華佗という位置付け設定がなされていたのだろうが、
物語的に彼の重要度は華佗を遙に凌いでいると言える。
幻想水滸伝⇒ リュウカン
赤月帝国一の名医。解毒剤を作ったり、マッシュ(呉用)の手当てをしたり、ミルイヒ(穆弘)に攫われたりと大活躍。

地獣星 紫髯伯  皇甫端(こうほたん) 

動物馬のお医者さん。

碧眼赤髭ゆえに「紫髯伯」と呼ばれている。
「伯」は伯楽(はくらく:馬の良否良く見分け、病気を治す人)で「紫髯」は、・・・むらさき?
いやいや中国では茶色を紫と表現していたらしいので大丈・・・確か紹介の文章では「赤」髭。
・・・
・・・・赤っぽい茶髪という事で解決。(無理矢理)
とにかく恐らく北方騎馬民族の血を引いていると思われる珍しい容姿のこの人物、職業は獣医。
特に馬に特化した凄腕医師で、仲間になりたてほやほやの天捷星・張清が脈絡も無く他薦して登場。
何故張清が皇甫端を推薦したのか謎だが、張清はその直前に彼に負傷させられた天孤星・魯智深に殴ら
れそうだったので、意識そらし&貢物として推薦したのかもしれない。
それ以後は昔懐かし「ウォーリーをさがせ!」のノリの如き執念で探さないと発見できず。
実はこの皇甫端を加えてめでたく一〇八星が勢ぞろいした記念すべき人物だったりするが、しかしよりによって
最後の一人が馬医とは。
確かに当時馬は戦争有る無しに関係なく生活に欠かせない動物だし、その腕前も薬と鍼で大体の症状を
治せる凄腕医師なので重宝しただろうけれど、地味すぎるにも程があるような。
どうしても「数合わせ」という単語が脳裏をよぎって仕方が無い。
まあ、これを縁の下の力持ち、と言うのでしょう。(無理矢理2)
幻想水滸伝⇒ フッケン
クロン寺の住職。宿星にまつわる深遠な知識と冴え光る頭部を持つ。

地微星  矮脚虎 王英(おうえい)


本当に好漢?好色一代男

宋江が天英星 花栄の元を尋ねようとした道中、食用として宋江を生け捕りにした清風山第三の頭として登場。
身長五尺未満という梁山泊一の背の低さで、その身長の低さと獰猛さから足の短い虎という意味の「矮脚虎(わいきゃくこ)」という渾名をつけられる。嫌がらせですか?
身長の低い人間は性欲が強いという俗説があるが、彼の場合単に笑いを取りに言った感が否めない。
そして王英のもう一つにして最大の特徴は女好き。
しかも美醜問わず女なら誰でもドンとこいというオーラが滲み出ている。
何しろ初登場は山道で捕らえた劉高(りゅうこう:天英星花栄と犬猿の文官。もちろんワル)の妻の体を撫で回しているという、これ以上
好漢から離れたシチュエーションはないだろうというもの。こういうのは大抵脳天カチ割られる側の登場パターンなんです
がねぇ。
そして地急星 扈三娘と戦った際には戦闘中にも関わらずよからぬ妄想に耽ってしまう。最悪です。
察しの良い扈三娘は当然激怒、あっさりこのセクハラ男を捕獲。そのまま捕虜にしてしまう。
よもや扈三娘もそんな助平男と結婚する羽目になろうとは思わなかっただろうに・・・。
そのなれそめも、先に書いた劉高の妻に手を出さないように説得する宋江が、代わりの嫁を探すからと約束したという
もの。宋江もよりによって何でこんなとびっきりの男をあてがったのか・・・。
棚から特大ぼた餅状態で梁山泊一の美女と結婚できた王英だが、女好きが直ったかと言うとそんな事は全くなく、
瓊英(けいえい:16歳の美少女。最初敵軍にいたが後に天捷星張清の妻になる)登場にはさっそく鼻の下を伸ばして突撃して負傷。
彼の辞書に学習という単語は無いようです。
水滸伝は女より友情&義兄弟の絆が格段に上のぶっちぎり硬派な漢の世界。
人妻大好き高衙内(こうがない:高チュウの養子。天雄星林冲の妻に手を出そうとした)、金持ち西門慶(せいもんけい:武松の兄嫁・潘金蓮と不倫。
後世「金瓶梅」の主人公に返り咲き)
、等々色欲に溺れる者は男女構わず冥府行き(大概水先案内人は一〇八星)なのに、
一〇八星に入ってなおかつ美人妻を娶るとは、ある意味水滸伝一幸せな男と言えるかも。
「膠のように漆のように」仲が良かったらしいのが救いか。
幻想水滸伝⇒ フッチ
ヨシュア(燕順)が隊長、ミリア(鄭天寿)が副隊長を務める竜洞騎士団の見習い竜騎士。
確かに身長は低いがそれは年相応(11歳)。お子様です。ついでに女好きでもありません。

地急星  一丈青 扈三娘(こさんじょう) 


梁山泊ぶっちぎりNo.1美女

古代中国の女性は本名が伝わらない為「扈」さん家の「三番目のお嬢さん(三娘)」で「扈三娘」。
扈家荘村長・扈家のお嬢様で、隣村の祝家荘の村長・祝家三男祝彪の許婚で、婚約者の危機に駆けつけたのが
初登場。
登場時の歌では『海棠の花(中国で牡丹と共に賞賛され、しばしば艶麗な美女に例えられ楊貴妃も「海棠の睡り、
未だ醒めず」と謳われた)』とこれでもかという位褒めちぎられる程の美女で、しかも良家のお嬢様。
更に日月双剣の腕前はかなりのもので、地闊星 欧鵬・地微星 王英クラスでは全く歯が立たないというまさに
才色兼備。

欧鵬を翻弄し王英を生け捕る活躍を見せ梁山泊を震え上がらせたが、元禁軍槍棒術教頭の天雄星 林冲には
流石に敵わず捕獲される。
その間に婚約者は殺され、実家も兄を残して壊滅(兄は逃亡)という悲惨極まりない境遇になってしまう。
しかもその発端というのが世にもしょうもない理由(※地賊星 時遷が鶏を一匹盗んだ。それだけ。)なのが本気で
同情を誘ってしまう。
そんな彼女に宋江が縁談を持ち掛けるのだが、その相手というのが『女だったら誰でもいいぜ』な王英。
しかも王英は扈三娘にボロ負けして生け捕られてます。
読者の誰一人として賛同できないこの婚姻の背景には、宋江が昔王英に「嫁さんを紹介してやる」という口約束が
あるのだが、「なぜ王英!!」と絶叫しない水滸伝ファンはいないだろう。
しかし彼女は特に嫌がる様子を見せる訳でもなく、あっさり王英の嫁にいってしまう。
そしてその後は夫と共に仲良く戦場を駆け巡り、他好漢(所により夫)が苦戦している敵の前に颯爽と登場し、
双剣を煌かせ鮮やかに敵を討ち取る華々しい戦果を挙げる。
夫は置いてけぼりなのはこの夫婦のスタンダードスタイルなのでよろしく。
だが、とにかく黙々と敵を倒すだけの存在になってしまっており、同じ女将軍の地壮星 孫二娘や地陰星 顧大嫂と
比べて人間味が激しく乏しい。
良家の息女にえげつない言動をさせる訳にはいかないという儒教的配慮があったのか、
はたまた作者が「黙って旦那の後をついていく美女って最高だよね!」だったのか。
水滸伝の世界で美女は悪女か、扈三娘のような意思の感じられない人形タイプしかおらず、少々残念だったりする。

ところで彼女の渾名「一丈青」の由来は古代の勇ましい女将軍から取ったのだ、色気たっぷりの美少女だ、
刺青がしてあった、いや彼女は非常に背が高かったからだ等々議論紛々なのだが、個人的には刺青説(当時の刺青
はいわゆる遠山の金さん的なものではなく、線画のようなものだったらしい)を支持したい。
幻想水滸伝⇒ カスミ
主人公(宋江)に密かに想いを寄せる女忍者。大和撫子な性格とお色気たっぷりすぎる服装で話題独占。

地暴星  喪門神 鮑旭(ほうきょく)


李逵の同類項

梁山泊討伐に来た地奇星 単廷珪・地猛星 魏定国を迎え撃つ為協議が行われている中、いつもように独断
行動を起こした天殺星 李逵。
その道中であった地悪星 焦挺が仲間になろうと向かっていたのがこの鮑旭だった。

なんでもこの鮑旭、枯樹山の山賊なのだがむやみに人を殺すと大評判だったそうな。
その最悪の噂を聞き仲間に加わろうとした焦挺も立派なアレだが、その焦挺と李逵と一目合うなり即座に気が合い
実の兄弟のようにもてなした鮑旭はまぎもれなく噂どおりの人だった模様。
まさに類は友を呼ぶ。呼んで欲しくない。

しかしこの出会いのおかげで単廷珪と魏定国にとっ捕まった地傑星 宣賛と地雄星 カク思文を救出できたのだから、
梁山泊的には万々歳。
入塞後は李逵の副官的地位という、ある意味死刑台に最も近いポジションにつく。
しかし鮑旭は上記の経歴や「喪門神(=凶神・疫病神)」というイカガワシイ渾名を頂戴するようなバーバリアン
なので、今日も地飛星 項充・地走星 李袞を盾に戦場に血煙上げまくる日々を送るようになる。
幻想水滸伝⇒ マース
鍛冶屋戦隊の中では一番下っ端の鍛冶屋ブルー。髭はないがやる気と生真面目さで勝負。

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